16.平成29年度(下期)の筆記試験問題の解答
平成29年の下期に実施された第二種電気工事士の筆記試験問題の解答を載せています。
また、電気理論の計算問題の答えを導き出す途中式の解説をしていますので計算問題の対策時に活用してみてください。
平成29年度の問題は、一般財団法人電気技術者試験センターのホームページからダウンロードすることができます。
このページの目次
平成29年度(下期)の筆記試験の解答
平成29年度(下期)の第二種電気工事士の筆記試験の全問題の解答です。
筆記試験日:平成29年9月30日(土)
問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 問5 | 問6 | 問7 | 問8 | 問9 | 問10 |
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イ | ニ | ロ | ロ | ハ | ニ | イ | イ | ハ | イ |
問11 | 問12 | 問13 | 問14 | 問15 | 問16 | 問17 | 問18 | 問19 | 問20 |
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ロ | ハ | ニ | イ | ロ | ハ | ロ | イ | ロ | ニ |
問21 | 問22 | 問23 | 問24 | 問25 | 問26 | 問27 | 問28 | 問29 | 問30 |
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ロ | イ | ハ | ハ | イ | ロ | ハ | ニ | ニ | ハ |
問31 | 問32 | 問33 | 問34 | 問35 | 問36 | 問37 | 問38 | 問39 | 問40 |
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ニ | イ | ロ | ロ | ニ | ハ | イ | ハ | ニ | イ |
問41 | 問42 | 問43 | 問44 | 問45 | 問46 | 問47 | 問48 | 問49 | 問50 |
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ニ | ロ | ハ | ロ | ニ | イ | ロ | ニ | イ | ハ |
計算問題の解き方と解答
平成29年度(下期)の第二種電気工事士の筆記試験に出題された計算問題の計算方法と解答を載せておきますので、試験勉強の際に活用してみてください。
問1
まずは、回路に流れる電流をオームの法則を使って計算してください。
計算すると2[A]の電流が回路に流れることがわかりました。
a-b間の電圧は、100[V]から40[Ω]の抵抗に掛かっている電圧を引いてもらえれば求められるので、
- 100[V]-(40[Ω]×2[A])
を計算すると20[V]になります。
したがって、答えは、20[V]です。
- 電流、電圧、抵抗の関係は、3.オームの法則を勉強してください。
問2
抵抗の電圧の計算手順は、次のように行います。
- 回路の合成インピーダンスを計算します。
- 回路に流れる電流を計算します。
- 抵抗値と電流値をオームの法則の式に当てはめて電圧を計算します。
答えは、80[V]です。
- 合成インピーダンスの計算方法は、6.正弦波交流回路を勉強してください。
問3
導体の抵抗を計算する時は、次の公式を覚えてください。
ρ=抵抗率、A=断面積、L=長さ、D=直径
上記の式を解いていくと答えは出ます。
※この問いで与えられたDは[mm]なので10-3がいります。
- 詳しくは、1.導体の抵抗を勉強してください。
問4
発熱量[J]とは[W・s]のことなので、1[W・s] = 1[J]となります。
1時間20分を秒に直して発熱量を計算してみると、
- 400[W]×((1×3600[s])+(20×60[s]))=1920000[W・s]
のように計算できるので、1920000[W・s] = 1920000[J]となります。
答えは、1920[kJ]です。
- 詳しくは、5.電力と発熱を勉強してください。
問5
まずは、各相の負荷のインピーダンスを計算します。
次は、相電流を計算します。
- 相電流=200÷10=20[A]
三相交流回路のデルタ結線での線電流の計算式は、√3×相電流で計算できるので、線電流=√3×20[A]です。
消費電力とは抵抗で消費される電力のことなので、
- I2×R=(√3×20)2×6=7200[W]
答えは、7.2[kW]です。
- 詳しくは、8.三相交流回路を勉強してください。
問6
電源電圧:V1、負荷電圧:V2、配線の電圧降下:2rILとすると、次のような関係が成り立ちます。
- V1=V2+2rIL
この問いでは、V1-V2を求めたいので、V1-V2=2rILとなります。
また、電流は10[A]なので、Iに10を代入すると、20rLになります。
答えは、20rL[V]です。
- 詳しくは、9.単相回路を勉強してください。
問7
直径1.6mmの絶縁電線(単線)の許容電流は27Aです。
金属管の中には電線を6本収めるので電流減少係数は0.56を使います。
したがって、電線1本当たりの許容電流は次の式で求められます。
電線1本当たりの許容電流=27[A]×0.56≒15[A]
- 詳しくは、10.絶縁電線の許容電流を勉強してください。
問8
幹線の太さを決める電流の最小値の問題が出てきたら、まずは、電動機と電熱器の定格電流の合計値を計算しましょう。
電動機の定格電流の合計値は10[A]、電熱器の定格電流の合計値は15+20=35[A]です。
※この問いの図に書かれているMは電動機、Hは電熱器のことを表しています。
電動機の定格電流の合計値が電動機以外の定格電流の合計値よりも小さい場合は、電動機の定格電流の合計値+電動機以外の定格電流の合計値を計算すれば電流の最小値が求まります。
したがって、10+35=45[A]となるので、幹線の太さを決める電流の最小値は45[A]です。
答えは、45[A]です。
- 詳しくは、11.幹線の許容電流を勉強してください。
問9
イ.配線用遮断器が20Aの分岐回路には、直径1.6mm以上の電線の太さが必要で、30Aのコンセントは接続できません。
ロ.配線用遮断器が30Aの分岐回路には、直径2.0mmの電線は接続できません。
ハ.配線用遮断器が20Aの分岐回路には、直径2.0mmの電線は接続でき、20Aのコンセントは接続できます。
ニ.配線用遮断器が30Aの分岐回路には、直径2.6mm以上の電線の太さが必要で、15Aのコンセントは接続できません。
したがって、ハが正解です。
- 詳しくは、13.幹線から分岐する分岐回路を勉強してください。
問10
この問いで与えられている値は、分岐回路の電線の許容電流=34[A]、幹線の配線用遮断器の定格電流=100[A]です。
まずは、次の式を使って分岐回路の電線の許容電流と幹線の配線用遮断器の定格電流との比を求めましょう。
式に数値を当てはめると、(34/100)×100=34[%]となります。
電線の許容電流が幹線の配線用遮断器の定格電流の35%未満となる場合は、a-b間の長さは3m以下に設置することになっています。
- 詳しくは、13.幹線から分岐する分岐回路を勉強してください。
問11
アウトレットボックスを使う目的は、電線相互を接続したり、電線を引き出す時に使います。
配線用遮断器を設置する為ではありません。
問12
ネオン変圧器はネオン放電灯を点灯させる為のものなので、ネオン変圧器とネオン放電灯を組み合わせて使います。
なお、高圧水銀灯と組み合わせるのは高圧水銀灯用の安定器です。
問13
同期速度の式を見てもらうとわかりますが、極数が同じなら電源周波数が高くなると回転速度は速くなります。
- 詳しくは、14.三相誘導電動機を勉強してください。
問14
リーマとは切断部分の面取り器のことです。
金属管を切断した時はリーマを使って切断部分の内側の面取りをして形状を整え、電線の被覆に傷がつかないように対処します。
問15
白熱電球よりもLEDランプの方が発光効率が高くなります。
間違えやすいのは、LEDランプの方が力率が高いのではと思うかもしれませんが、交流を直流に変換する時に高調波を含むのでLEDランプの方が力率は低いです。
問16
この問いに写っている写真はホールソーという工具です。
ホールソーのサイズはいろいろありボックスなどの鉄板に穴を開けて電線管を通したりする時に使います。
問17
この問いに写っている写真は電磁開閉器です。
電磁開閉器は電磁石の力を利用して回路を開閉する機器のことで、主に、過電流が流れた時に回路を遮断してモーターの損傷を防ぐ目的で使います。
※電磁開閉器のことを現場ではマグネットと呼ぶことがあります。
したがって、電磁開閉器には電磁接触器が使われています。
問18
この問いに写っている写真は合成樹脂タイプのサドルです。
合成樹脂管(PF管)を柱などに支持する時に使います。
問19
配線図の図記号を理解するにはそれぞれの記号が何を表しているのかをしっかりと覚えることです。
- 記号なし:鋼製電線管
- E:ねじなし電線管
- PF:合成樹脂製可とう電線管
- F2:2種金属製可とう電線管
なお、直線は天井隠ぺい配線、点線は露出配線のことです。
問20
電線を接続する時は、電線の電気抵抗を増加させないように行うことなどといったいくつかのルールがあるので覚えましょう。
- 詳しくは、3.電線の接続方法を勉強してください。
問21
湿気が多い場所では1種金属製可とう電線管での施工は認められていません。2種金属製可とう電線管を使って施工してください。
- 詳しくは、4.金属可とう電線管工事を勉強してください。
問22
TSカップリングとは合成樹脂管(VE管)を接続する時に使う器具です。
金属製可とう電線管と電線管との接続にはコンビネーションカップリング、金属製可とう電線管とボックスとの接続にはボックスコネクタを使います。
問23
ネオン放電灯の施工で気をつけることは、金属製の外箱にD種接地工事を施し、必ずネオン電線を使用して、電線の支持点間の距離を1mにしなければいけないことです。
問24
テスター、回転計、電力計の使用用途は次の通りです。
- テスター:電圧や抵抗値の測定などに使います。
- 回転計:電動機の回転速度を測定する時に使います。
- 電力計:電力量ではなく電力を測定する時に使います。
問25
電路と大地間との絶縁抵抗値は、3相3線式では0.2MΩ以上、単相2線式・単相3線式では0.1MΩ以上なければいけません。
したがって、イの絶縁抵抗値は電気設備に関する技術基準に適合しません。
- 詳しくは、4.絶縁抵抗を勉強してください。
問26
3相200VということはD種接地工事を施すことになります。
D種接地工事では、接地抵抗値100Ω以下、接地線の太さ直径1.6mm以上として工事しなければいけないのでロが正しい答えです。
- 詳しくは、2.接地工事の種類を勉強してください。
問27
単相3線式回路では、中性線を含めたすべての線をクランプメーターで挟み込んで漏れ電流を測定してください。
問28
勘違いされている方が多いですが電気工事士でなくても作業できるものはいくつかあります。
- イ.電圧600V以下で使用する電力量計の取り付け作業は電気工事士でなくてもOK。
- ロ.小型変圧器の36V以下の2次側の配線作業は電気工事士でなくてもOK。
- ハ.電圧600V以下で使用するソケットへのコードの接続作業は電気工事士でなくてもOK。
- 詳しくは、2.電気工事士法を勉強してください。
問29
一般用電気工作物の適用を受けるのは以下の場合です。
- 太陽電池発電設備:出力50kW未満
- 発電設備を複数設置:出力50kW未満
- 燃料電池発電設備:出力10kW未満
- 内燃力発電設備:出力10kW未満
したがって、出力15kWの非常用内燃力発電設備は一般用電気工作物の適用を受けません。
- 詳しくは、1.電気事業法を勉強してください。
問30
低圧区分での直流は750V以下、交流は600V以下です。
- 詳しくは、3.電気設備技術基準・解釈を勉強してください。