11.幹線に流すことができる許容電流値の計算方法
幹線の許容電流とは、電線に事故が起きないようにする為に安全に流すことができる電流の値のことです。
幹線の許容電流値は、電動機等の定格電流と電動機以外の定格電流を使って計算式で求めます。
試験に出題される確率はとても高いので、幹線の許容電流値の計算方法をしっかり覚えてください。
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幹線の許容電流の計算方法
幹線について書かれている電気設備の技術基準の解釈を読むと、幹線は損傷を受けるおそれがない場所に施設し、幹線の許容電流は、その幹線に接続させる電気使用機械器具の定格電流の合計値以上であることとされています。
但し、例外があって、その幹線に接続する負荷のうち、電動機(起動電流が大きい電気機械器具など)の定格電流の合計値が、他の電気使用機械器具の定格電流の合計値より大きい場合は、他の電気使用機械器具の定格電流の合計値に次の値を加えた値以上にしなければいけません。
- 電動機等の定格電流の合計が50A以下の場合は、その定格電流の合計の1.25倍にすること
- 電動機等の定格電流の合計が50Aを超える場合は、その定格電流の合計の1.1倍にすること
何やら難しい言葉で説明されていますが、簡単にいえば、幹線の許容電流は接続されている負荷の定格電流の合計値で決まりますが、幹線に接続されている負荷に電動機などのような始動する時に大電流が流れる可能性が起こりうる機器の定格電流の合計値が大きい場合は幹線の許容電流値に少し余裕を持たせておきましょうということです。
幹線の許容電流の計算方法を言葉での説明を読んでもよくわからないと思いますので式にまとめました。
初めに、幹線の許容電流を求める時は、IA、IM、IHを次のように定義してください。
- IA = 幹線の許容電流
- IM = 電動機等の定格電流の合計
- IH = 電動機以外(電熱器などの負荷)の定格電流の合計
上記のように定義をすると、幹線の許容電流は、下の「幹線の許容電流を求める表」のような関係になり3パターンに分かれるようになります。
条件 | 幹線の許容電流 | |
---|---|---|
IM≦IH の時 | IA≧IM + IH | |
IM>IH の時 | IM≦50Aの時 | IA≧1.25IM + IH |
IM>50Aの時 | IA≧1.1IM + IH |
それぞれの式は条件により異なります。
まずは、電動機等の定格電流の合計が電動機以外(電熱器などの負荷)の定格電流の合計と等しいか小さいか大きいかで分かれます。
その次は、電動機等の定格電流の合計が電動機以外(電熱器などの負荷)の定格電流の合計よりも大きい場合は、電動機等の定格電流の合計が50Aと等しいか大きいか小さいかを比較して適切な計算式にたどり着くようにしてください。
また、需要率を求める時は次の式で表わすことができます。
このページは、電気設備の技術基準の解釈の第148条(低圧幹線の施設)の幹線の許容電流の内容を第二種電気工事士の筆記試験の勉強が少しでもはかどるようにわかりやすくまとめたものです。
幹線についてさらに詳しく知りたい方は、電気設備の技術基準の解釈に記載されているので目を通してください。
幹線の許容電流の練習問題を解いてみよう
次の幹線の許容電流に関する問題を解いて力をつけてください。
問題2のような、電動機と電熱器が接続されている時の幹線の許容電流の関係を問う問題はよく出題されますので試験までに必ず解けれるようにしておいてください。
問題1
最大需要電力が5kW、需要率は50%の住宅の総設備容量はいくらになるか?
考え方:上の需要率を求める式を、総設備容量を求める式に変形して値を当てはめてみましょう。
答え:
問題2
下の図のように電動機と電熱器が接続されている場合、幹線の許容電流の最小値はいくらか?但し、需要率は100%とする。
考え方:
まず、電動機と電熱器の定格電流の合計を求めましょう。
- 電動機の定格電流の合計=20+30=50[A]
- 電熱器の定格電流の合計=15+15=30[A]
次に、上の許容電流を求める表で許容電流を求める式を探しましょう。
電熱器の定格電流の合計より電動機の定格電流の合計の方が大きい場合で電動機の定格電流が50Aの時の式を探してください。
次の許容電流を求める式が見つかると思います。
- IA≧1.25IM + IH
この式を使えばが求められますね。
最後に、電動機と電熱器の定格電流の合計の値を代入しましょう。
答え:
IA = 1.25×50+30 = 92.5[A]