単相交流回路の公式と問題の解き方(第二種電気工事士の筆記試験対策)

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9.単相2線式、単相3線式の電源電圧と電力損失の計算式

第二種電気工事士の筆記試験には、電気理論として、単相交流回路の問題が出題されます。

単相交流回路には、単相2線式と単相3線式があり、どちらの回路も計算式を使って電源電圧と電力損失を求めなくてはいけません。

試験に出題される確率はとても高いので、電源電圧と電力損失の求め方をしっかり覚えてください。

このページの目次

単相交流回路とは

単相交流波形

交流という電気は、単相交流と三相交流という2種類があります。

私たちの一般家庭のコンセントに引き込まれている電気といえば、電柱の変圧器で三相交流から単相交流に変換されていますので、単相交流の100V又は200Vが普通です。

単相交流の種類は、単相2線式単相3線式という回路方式があり、昔から建っている一般的な住宅には単相2線式の100Vが使われ、新しい住宅には単相3線式の100VとIHクッキングヒーターやエアコン用に200Vの両方の電圧が使えるように施工されています。

つまり、単相交流とは電力会社から送られてくる電源電圧が1つしかない上の図のような波形の状態の電気(1相のみで送られてきている交流)のことをいいます。

単相に対して三相という方式があります。三相の場合は、電源電圧の大きさが等しく位相が120°ずつずれた3つの電圧がある状態です。すなわち、電圧が三相あり、瞬時値の総和がゼロになる状態の交流のことです。

では、三相交流はどこで使われているのかというと、エレベーターや送風機などの三相交流電動機を動かしている工場、オフィスビル、商業施設で使われています。

なお、電気業界の専門用語では、単相交流のことを電灯線、三相交流のことを動力線といいます。

それでは、単相2線式と単相3線式の計算式について見ていきましょう。

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単相2線式の電源電圧と電力損失の計算式

下の図のような回線のことを、単相2線式といいます。

単相2線式の2線式という意味は、電源から負荷まで延びてきている線が2本あるということです。

単相2線式回路

単相2線式でよく使われる計算式は電源電圧Vと電力損失Wです。

計算する時は、次の式を使って求めます。

単相2線式回路の電源電圧と電力損失を求める式

Va=負荷電圧
r =電線1条の抵抗
I =線電流

電源電圧を計算する時に間違えやすいのは、負荷の電圧(電圧降下)を電源電圧としてしまうことです。

電圧降下とは、電線の端と端、負荷の端と端で電圧が違うことです。

どのような電線でも導体はほんの少しですが抵抗分を持っているので電圧降下が発生しています。電源電圧を計算する時は、負荷の電圧に電線の電圧降下分を足し合わせてください。

単相3線式の電源電圧と電力損失の計算式

下の図のような回線のことを、単相3線式といいます。

単相3線式の3線式という意味は、電源から負荷まで延びてきている線が3本あるということです。

単相3線式回路

図を見ると中性線に流れる電流IB はIAとICの値によって変わることがわかります。

単相3線式の電源電圧と電力損失を計算する時は、電流IBの値がゼロかゼロ以外かで計算式が変わってきますので注意してください。

それでは、電流IB の違いによる電源電圧と電力損失について見てみましょう。

電流IB =0(電流IBはゼロ)の時

すなわち、IA と ICが同じ値の場合はIBがゼロになります。

IBがゼロの時の電源電圧V1と電力損失Wの計算式は次の通りです。

単相3線式回路の電源電圧と電力損失を求める式(電流IBはゼロの時)

Vab=ab間の負荷電圧
Vbc=bc間の負荷電圧
r =電線1条の抵抗
I = I A = I C = 同じ値の線電流

電流IB ≠0(電流IBはゼロではない)の時

すなわち、IA と ICが異なる値の場合はIBはゼロではありません。

IBがゼロではない時の電源電圧V1は次の通りです。

単相3線式回路の電源電圧と電力損失を求める式(電流IBはゼロではない時)

Vab=ab間の負荷電圧
Vbc=bc間の負荷電圧
r =電線1条の抵抗
I = I A = I C = 異なる値の線電流

単相3線式の場合でも単相2線式と同じように電線にはほんの少しですが電圧降下が発生していますので、電源電圧を計算する時は、負荷の電圧に電線の電圧降下分を足し合わせてください。

単相交流回路の練習問題を解いてみよう

次の単相交流回路に関する問題を解いて力をつけてください。

問題1、問題2のような、単相2線式回路と単相3線式回路の電圧を問う問題はよく出題されますので試験までに必ず解けれるようにしておいてください。

問題1

次のような単相2線式回路がある。この回路の電源電圧Vを求めよ。
rは電線1条の抵抗値のことです。

単相2線式回路の問題

考え方:上記で説明した単相2線式の電源電圧を求める公式に当てはめてみましょう。

答え:

単相2線式回路の電源電圧の求め方

問題2

次のような単相3線式回路がある。この回路の負荷電圧Vabを求めよ。
rは電線1条の抵抗値のことです。

単相3線式回路の問題

考え方:中性線の電流を求めた後に、a点とb点で生じる電圧を求めて、最後に電源電圧からVaとVbを引いて答えを求めます。

まず中性線に流れる電流 IBを求めましょう。

単相3線式回路の中性線に流れる電流を求める

次にVaとVbの電線の抵抗で生じる電圧を求めましょう。

単相3線式回路のVaとVbの電線で生じる電圧を求める

最後に、電源電圧から電線に生じる電圧を引きましょう。

単相3線式回路の負荷電圧を求める答え

答え:負荷電圧Vab=96[V]

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