8.三相交流回路の負荷のY結線とΔ結線の要点・公式・問題
第二種電気工事士の筆記試験には、電気理論として、スター結線又はデルタ結線の問題が出題されます。
スター結線とは負荷をYの形に接続した結線方法、デルタ結線とは負荷をΔの形に接続した結線方法です。
スター結線とデルタ結線は試験に出題される確率は高いので、公式を覚えて問題を解けれるようにしてください。
このページの目次
三相交流とは
交流は相の数の違いにより、単相交流と三相交流という2つの方式があります。
- 単相交流
- 1つの交流電源のみを用いた交流電源のことです。
- 三相交流
- 周波数と起電力が等しい3つの単相交流電源で構成された方式です。それぞれの電圧又は電流の位相を120°ずつずらして組み合わせています。上の図のように波形が3つある時は三相交流です。
また、三相の起電力の和(瞬時値の和)はどの時間でも常にゼロになり、その様な三相交流のことを対称三相交流といっています。
※どの時刻でも1相目の起電力+2相目の起電力+3相目の起電力=0になります。
一般家庭に送られてくる電気といえば単相交流ですよね。
では、三相交流を使うメリットは何かというと、単相交流電源を3つ使っているので大きな力が得られることです。
ビルや工場の動力用(送風機、ポンプ、エレベーター、エスカレーター、ベルトコンベアーなど)は大きな力が必要なので三相交流が広く使われています。
※ビルや工場では主に、電灯設備は単相交流、動力設備は三相交流で動いています。
そして、三相交流電源へ負荷を結線して三相交流回路を作りますが、三相交流電源へ接続する負荷の結線方法には、次の2種類があります。
- Y(スター)結線
- Δ(デルタ)結線
三相交流では、この2つのうちのどちらかの結線方法を使って負荷へ電力を供給することになります。
負荷のY(スター)結線
下の回路図は、三相交流と各負荷とをY(スター)結線した時の接続方法です。
VL=線間電圧
I L=線電流
VP=相電圧
I P=相電流
上の図をよく見るとYの形の様にそれぞれの負荷が結線されていませんか?
Yの形の様に負荷が結線されているからY結線(スター結線)といいいます。
スター結線は、線間と線に加わる電圧と流れる電流の呼び方は次のように4種類あります。
- 線間電圧
- 電源から負荷との間にある線(各相の負荷の外部の線)に加わる電圧のこと
- 線電流
- 電源から負荷との間にある線(各相の負荷の外部の線)に流れる電流のこと。
スター結線にすると線電流と相電流の値は同じになります。 - 相電圧
- 各相の負荷に加わる電圧のこと
- 相電流
- 各相の負荷に流れる電流のこと。
スター結線にすると線電流と相電流の値は同じになります。
スター結線では、平衡負荷(各相の負荷が等しい値)の場合は、線間電圧(VL)と相電圧(VP)、線電流(IL)と相電流(IP)との間には一定の関係があります。
それでは、線間電圧(VL)、線電流(IL)、負荷のインピーダンス(Z)を計算する時に使う公式を見てみましょう。
スター結線時の公式を見ると、線電流は相電流と等しく、線間電圧は相電圧を√3倍して求めます。
負荷のインピーダンスは、相電圧÷相電流なのでデルタ結線した時と同じ式で計算できます。
スター結線した時で線間電圧を計算する時は、√3倍することを忘れないでくださいね。
負荷のΔ(デルタ)結線
下の回路図は、三相交流と各負荷とをΔ(デルタ)結線した時の接続方法です。
VL=線間電圧
I L=線電流
VP=相電圧
I P=相電流
Y結線では負荷をYの形の様に三相交流へ接続されているからスター結線と呼ばれていたように、Δ結線もΔの形の様に負荷が接続されているからデルタ結線と呼ばれています。
上の図を見てもらうとわかりますが、デルタ結線はスター結線と同じように、線間と線に加わる電圧と流れる電流の呼び方は次のように4種類あります。
- 線間電圧
- 電源から負荷との間にある線(各相の負荷の外部の線)に加わる電圧のこと。
デルタ結線にすると線間電圧と相電圧の値は同じになります。 - 線電流
- 電源から負荷との間にある線(各相の負荷の外部の線)に流れる電流のこと
- 相電圧
- 各相の負荷に加わる電圧のこと。
デルタ結線にすると線間電圧と相電圧の値は同じになります。 - 相電流
- 各相の負荷に流れる電流のこと
デルタ結線では、平衡負荷(各相の負荷が等しい値)の場合は、線間電圧(VL)と相電圧(VP)、線電流(IL)と相電流(IP)との間には一定の関係があります。
それでは、線間電圧(VL)、線電流(IL)、負荷のインピーダンス(Z)を計算する時に使う公式を見てみましょう。
デルタ結線時の公式を見ると、線間電圧は相電圧と等しく、線電流は相電流を√3倍して求めます。
負荷のインピーダンスは、相電圧÷相電流なのでスター結線した時と同じ式で計算できます。
デルタ結線した時で線電流を計算する時は、√3倍することを忘れないでくださいね。
三相交流の電力の求め方
三相交流の電力は、1相分の電力の3倍、又は1線間の電力の√3倍となります。
公式を見てみましょう。
となります。
三相交流を使えば単相交流よりも電力が大きくできるので、容量が大きい電動機を安定して運転することができます。
三相交流回路の結線方法の練習問題を解いてみよう
次の三相交流回路の結線方法に関する問題を解いて力をつけてください。
問題1と2のような、スター結線、デルタ結線の線電流を問う問題はよく出題されますので試験までに必ず解けれるようにしておいてください。
問題1
次の図のように負荷がスター結線された三相交流回路に線間電圧VL=200Vを加えたとき、線電流ILはいくらになるか?各相の負荷は10Ωとする。
考え方:Y(スター)結線の公式を使って解きましょう。
答え:
問題2
次の図のように負荷がデルタ結線された三相交流回路に線間電圧VL=200Vを加えたとき、線電流ILはいくらになるか?
考え方:Δ(デルタ)結線の公式を使って解きましょう。
答え:
問題3
上のデルタ結線の回路(VL=200V、各相の負荷=10Ω)の場合、消費電力はいくらになるか?
考え方:三相交流の電力は1相分の3倍、1線間の√3倍になります。間違えないようにしてください。
答え: