電力と発熱の計算方法と問題の解き方(第二種電気工事士の筆記試験対策)

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5.電力と発熱の公式・問題・要点

私たちは毎日電気を使って生活しています。電源をONにして電気機器を動作させると電気が流れて必ず発熱して電力を消費します。

電力とは、電気エネルギーが行う仕事のことでP=VI、発熱量はH=I2Rtの公式で求めます。

毎回の試験で計算問題が1問出題される確率が高いので、電力と発熱の公式と計算方法をしっかり覚えてください。

このページの目次

電力の計算方法

電力とは、単位時間あたり(1秒あたり)に電気エネルギーが行う仕事のことを表します。

電気の勉強をしていると電力の他に消費電力という言葉がでてくると思いますが、消費電力とは電気エネルギーを熱エネルギーなどに変えて電気機器が動作する時に使われる電力のことなので、電力でも消費電力でも同じ意味です。

電力は次のようにP[W]として表されて、回路に加えた電圧と回路に流れている電流を掛け合わせることによって求めます。式を見ると、電圧と電流が共に大きい時は電力も大きくなることがわかります。

電力を求める公式(P=VI)

また、オームの法則で勉強しましたが電圧は電流×抵抗(V=IR)、電流は電圧÷抵抗(I=V/R)で求めることができますよね。

電力の式の電圧×電流にオームの法則を当てはめてみますと、電力の公式は次のようになります。

電力を求める公式

なお、電力の式であるP=VI[W]は、電気量と仕事(ジュール)の式から導き出せます。

1[A]の電流の大きさは、1秒間に電気量1[C]の電荷が導体を通過する時に流れるので、電気量=q、電流=I、時間=tとすると、q=It[C]となります。

仕事はというと、仕事=W、電気量=q、電位差=Vとすると、W=qV[J]となります。

次は、W=qVの式にq=Itを代入すると、W=ItVとなります。

電力とは1秒あたりの仕事量なので、P=ItV/t=VIとなります。

つまり、P=VIが電力の式となります。

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電力量の計算方法

電力とは単位時間あたりに電気エネルギーが行う仕事のことを表していましたが、電力量とは電力P[W]をt秒間使用した時に行われた電気エネルギー(仕事)の総量のことをいいます。

このように、電力量は時間が関係してくるので、電力量を計算する時は電力に時間を掛け合わせて求めてください。

以上の説明を踏まえると、電力量の公式は次のようになることがわかります。

電力量を求める公式

なお、電力量の単位は、1秒間あたりの電力量W[W・s](ワット秒と読む)として表されますが、その他の電力量の単位としては、Wh(ワット時)、kWh(キロワット時)もよく使われるので覚えてください。
※1[W・h]=3600[W・s]なので、[W・s]を[W・h]に変換する時は3600を掛け合わせてください。3600とは3600秒=1時間のことです。

みなさんの家庭の電気料金の請求書にはkWhが使われていると思いますが、WhやkWhとは1時間あたりの電力量のことを表しています。

例えば、自分の部屋で30Wの蛍光灯を8時間点灯させ続けた場合の電力量は、30×8=240Whとなります。この240Whの電力量を電力会社から送ってもらい部屋で消費してることになります。

ちなみに消費する電力が大きい電化製品は電気エネルギーを熱に変換して使う炊飯器やドライヤーなどが当てはまります。

それに対して映像や音声を楽しむテレビ、デジカメ、パソコン、蛍光灯などの照明は熱に変換することが目的ではないので消費する電力は少ないです。

ジュール熱、発熱量の計算方法

ジュール熱を絵で説明

抵抗に電流を流すと、ジュール熱が発生することによって抵抗に熱が生じるようになります。

みなさんは小学生の理科の時間でニクロム線に電気を流して電線を発熱させた実験を覚えていますか?

どうしてニクロム線に熱が発生するのかというと、電気が流れる導体に電流を流すと、電流と逆の方向に移動する特性を持つ自由電子は、導体の金属原子にぶつかりながらマイナス極からプラス極の方向へ移動し、そのぶつかった時の金属原子の振動が熱エネルギーに変換され熱を発生させているからです。

また、導体の抵抗値が大きいもの、流れる電流が大きいもの程、導体の発熱量も大きくなります。

ジュール熱を利用した身近な電気製品では、ドライヤー、アイロン、トースターなどがあります。

このような熱が発生する作用を電流の発熱作用といいます。

ジュール[J]とは、力・電気・熱エネルギーのような仕事量を表していて、発熱量の公式は次のように、流す電流の2乗、導体の抵抗値、電流を流し続けた時間に比例します。

発熱量を求める公式

では、よく耳にするカロリーとは何かというと、熱エネルギーを表すときに使い、熱量[cal](カロリー)のことを表しています。

なお、1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量=1[cal]=4.2[J]です。

また、電力量と熱量の関係は、

  • 1[W・s] = 1[J] = 0.24[cal]

で表すことができ、1[A]の電流が1[Ω]の抵抗の中を1秒間流れた時の仕事量は1[J]、1[J]の仕事量は約0.24[cal]の熱量として扱われます。

電力と発熱の練習問題を解いてみよう

次の電力と発熱に関する問題を解いて力をつけてください。

問題1のような、抵抗に電流を流した時の電力量を問う問題はよく出題されますので試験までに必ず解けれるようにしておいてください。

問題1

10[Ω]の抵抗に電流3[A]を1時間流した時の電力量[W・s]はいくらか?

考え方:上で説明した電力量を求める式に値を当てはめてみましょう。
※1時間とは3600秒のことです。

答え:

電力量を求める問題の計算式

問題2

消費電力800[W]の電熱器を1時間使用した時の発熱量[kcal]はいくらか?
1[kWh]=860[kcal]とする。

考え方:上で説明した熱量を求める式に値を当てはめてみましょう。

答え:

発熱量を求める問題の計算式

問題3

消費電力が1000[W]の電熱線を使った電気ケトルに1リットルの水を入れ1分間スイッチを入れると水温は何℃上昇するか?

考え方:1分間の発熱量を計算した後に、上昇する水の温度を求めます。

1分間の発熱量=H=Pt=1000[W]×60[s]=60000[J]
1分間で上昇する水の温度=60000[J]÷1000[g]÷4.2≒14.3[℃]

答え:1分間で水温は約14.3℃上昇します。

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