架空低圧・高圧引込み方法と問題の解き方(第二種電気工事士の筆記試験対策)

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2.低圧・高圧電気の引き込み

電気の引き込みは低圧電気と高圧電気の2種類があります。

低圧電気の引き込み方法は柱上変圧器から架空引込線で各建て物へ、高圧電気の引き込み方法は架空引き込みと地中引き込みがあります。

低圧・高圧電気の引き込みは試験に出題される確率は高くありませんが、実際に電気工事を行う時は、電気設備の技術基準の解釈に定められたことが必要となる知識なのでしっかり覚えてください。

このページの目次

低圧電気の引込み方法

低圧の区分

電気設備技術基準では、交流600V以下、直流750V以下を低圧の区分と定めており、低圧で電気を受電する建物は一般用電気工作物として扱われます。
※電柱で張り巡らされている電線には6600Vの高電圧が掛かっていますが、柱上変圧器で100V又は200Vに降圧されています。

低圧の電気を建物へ引き込む方法は、電柱の上の方に設置してある柱上変圧器から各建物へ架空引込線(空中に張り渡した電線)を使い、引込線を取り付ける場所は引込柱や建物の外壁で支持して引き込むのが一般的です。
※無電柱化されている地域では地中から引き込まれます。

低圧の架空引込線の工事を行う時は、次の決まりごとを守って行ってください。

  • 引き込みに使う電線の種類は、絶縁電線又はケーブルを使用
  • 電線を引き込む時の引込線の取付点の高さは、地表上4m以上
    (技術上やむをえない場合で交通に支障がない時は2.5m以上)
  • 道路を横断する時は5m以上
    (技術上やむをえない場合で交通に支障がない時は3m以上)
  • 鉄道を横断する時はレール面上5.5m以上
  • 横断歩道橋の上では路面上3m以上

また、木造の造営物の屋側配線(取付点から引込口までの電路)には、金属管工事、バスダクト工事、金属の外装で覆ったケーブルなどは使用できません。

※このような決まりごとが電気設備の技術基準の解釈に定めてあるので、一度目を通しておいてください。

引込点から建物側の話をすると、引込線の取付点のことを責任分界点といい、電力会社と需要家(電気を使う人)との財産の分岐点の場所になるので、引込線取付点から建物側の設備は電気を使う人の責任で設置・維持管理しなければいけません。

但し、電力量計とアンペアブレーカーは電力会社の設備となります。

単相2線式100Vや単相3線式100/200Vという低圧で引き込んだ引込線はそのままの電圧で家庭用の電気機器を動かすことができるので、電力量計を通してから分電盤へと配線されます。

分電盤の内部は、アンペアブレーカー、主幹ブレーカー(漏電遮断器)、分岐ブレーカーで構成されています。

アンペアブレーカー
電力会社と契約しているアンペア数のブレーカーが設置されています。
アンペア数を超えて電気を使うと家の中のすべての電路が遮断されます。
主幹ブレーカー(漏電遮断器)
漏電遮断器は、電気機器などから電気が漏れていることを感知したらすべての電路を遮断します。
分岐ブレーカー
分岐ブレーカーは各回路(1階照明用、1階コンセント用など)ごとに通常では20A用の過電流遮断器が設置されています。
設置されているアンペア数を超えて電気を使うと各分岐回路の電路が遮断されます。

また、分電盤の中で使われる一般的な電線の色としては、

  • 単相2線式:黒色の電線は電圧線、白色の電線は中性線
  • 単相3線式:黒色と赤色の電線は電圧線、白色の電線は中性線

として使われています。

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高圧電気の引込み方法

高圧の区分

電気設備技術基準では、交流600V超~7000V以下、直流750V超~7000V以下を高圧の区分と定めており、高圧で電気を受電する建物は自家用電気工作物として扱われます。また、7000Vを超える特別高圧の区分でも自家用電気工作物となります。

高圧の電気を建物に引き込む方法は、架空引き込みと地中引き込みの2種類があります。

  • 架空引き込みの電気工事をする時は、引込柱に電路を遮断する開閉器や雷による事故を防ぐ避雷器を取り付けて建物の敷地内に建てて引き込みます。
  • 地中引き込みの電気工事をする時は、高圧キャビネットといわれる負荷開閉器や保護継電器などを収めた金属製の箱を設置して引き込みます。

高圧の電気を受電するビルや工場などでは、そのままの電圧(電柱の電線では6600V)では電気機器を使うことができないので、受変電設備の中の変圧器(トランス)を経由させて、単相変圧器で単相100/200Vへ三相変圧器で三相200Vなどへ電圧を落として使います。
※一般的に使われる変圧器の種類には、油入変圧器やモールド変圧器があります。

受変電設備には、キュービクルといわれる金属製の箱に変圧器や遮断器を収めて設置するのが一般的です。
※キュービクル式の受変電設備のことを閉鎖型といいます。

受変電設備は、閉鎖型の他に開放型(オープン式)もありますが設置スペースなどの問題であまり使われておらず、最近の傾向では受変電設備を新設する場合の主流はキュービクル式を使うことが多いです。

受変電設備で電圧を落とした後は、幹線を通って単相交流は電灯盤へ、三相交流は動力盤へ電気を送り、照明器具、コンセント、動力用の電動機などを動かします。

動力盤の先には、動力幹線を通して電動機に電力を供給して自動運転する為の動力制御盤(配線用遮断器、電磁開閉器、押しボタン、表示灯などで構成したもの)を設置します。

配線用遮断器
過電流が流れたら電路を遮断する開閉器のことです。
電磁開閉器
電磁接触器とサーマルリレーを組み合わせた開閉器のことです。過負荷による熱が一定基準を超えると電磁接触器を遮断し電動機を保護します。電磁開閉器は、マグネットスイッチともいわれています。

引込みした母屋の敷地内での屋外配線

母屋の敷地内に別棟(物置や小さな小屋など)や庭などに屋外灯などが建っている場合は、母屋に設置してある分電盤から電線を配線して電気を送ります。

どんな建物の引込口の近くには引込開閉器(開閉器や過電流遮断器など)を取り付けることが原則となっていますが、使用電圧が300V以下で母屋側で20A以下の配線用遮断器(ヒューズは15A以下)で保護され、別棟までの屋外配線の長さが15m以下であれば引込開閉器の取り付けを省略できます。

屋外灯では、原則、配線用遮断器を設置して専用回路として母屋側から屋外灯へ配線されますが、母屋側で20A以下の配線用遮断器(ヒューズは15A以下)で保護され、分岐点からの屋外灯までの屋外配線の長さが8m以下ならば専用回路にしなくてもよく、分岐点につながっている配線用遮断器を兼用することができます。

また、屋外灯への屋外配線は、ケーブルを使用して、地面の中に埋設する地中電線路(直接埋設式、管路式、暗きょ式)で施設します。

直接埋設式では、地中のケーブルの深さが重量物の圧力がかかる場所では1.2m以上、圧力がかからない場所では0.6m以上となるようにコンクリートケーブルトラフを埋設する工事を行います。

低圧・高圧電気の引込みの練習問題を解いてみよう

次の低圧・高圧電気の引込み方法に関する問題を解いて力をつけてください。

それぞれの問題は試験には出題されにくいですが、電気工事を行う時に必要となる事柄となるのでしっかり覚えてください。

問題1

架空引込線を使って低圧の電気を建て物に引き込む場合は、引込線の取付点の高さは原則地表上何m以上としなければいけないか次から1つ選んで答えよ。

  • イ.3m以上
  • ロ.4m以上
  • ハ.5m以上
  • 二.10m以上

考え方:上記の低圧の引込みについての説明を読むか電気設備の技術基準の解釈の第116条の低圧架空引込線等の施設を確認してください。

答え: ロ

問題2

木造の造営物で展開した場所で低圧の引込線取付点から引込口へ至る工事で正しいものはどれか?次の中から1つ選んで答えよ。

  • イ.金属管工事
  • ロ.アルミ被ケーブルを使った工事
  • ハ.バスダクト工事
  • 二.合成樹脂管工事

考え方:上記の低圧の引込みについての説明を読むか電気設備の技術基準の解釈の第110条の低圧屋側電線路の施設を確認してください。

答え: 二

問題3

使用電圧が100Vである母屋の敷地内にある別棟や屋外灯への配線についての次に述べるそれぞれの記述は正しいか答えよ。

  • イ.母屋で20Aの配線用遮断器で保護され、別棟までの配線の長さが15mであったので別棟に取り付ける予定だった引込開閉器を省略した
  • ロ.屋外灯へは専用回路で配線した
  • ハ.重量物の圧力がかかる場所なのでケーブルの深さを地表から1.2mとなるように穴を掘った
  • 二.重量物の圧力がかからない場所なのでケーブルの深さを地表から0.6mとなるように穴を掘った

考え方:上記の引込みした母屋の敷地内での屋外配線の説明を確認してください。

答え:
イ.正しい
ロ.正しい
ハ.正しい
二.正しい

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