8.バスダクト工事の概要と接地工事・施工場所
バスダクト工事とは、板状の導体をバスダクトの中に通して機械・器具へ電気を送る工事方法のことです。
バスダクトの接地工事の種類、バスダクト工事を行ってもよい場所は、電気設備の技術基準の解釈で決められています。
試験に出題される確率はあまり高くありませんが試験範囲に含まれていますし、実際に電気工事を行う時は必ず知っていなければならない知識なのでしっかり覚えてください。
このページの目次
バスダクト工事について
一般的な電気工事の種類としては、ケーブル工事、金属管工事、合成樹脂管工事、金属可とう電線管工事があり、それらの工事方法は様々な場所に施工できるのでよく使われています。
その他でも施工できる場所に制限はありますが目的に応じて様々な低圧の屋内配線工事があり、バスダクト工事も配線工事を行う時に用いる工事の1つとなります。
バスダクト工事とは、板状の導体を日本工業規格に適合するダクトの中に通して、主に幹線を施工する時に用いる工事方法です。
低圧屋内配線でバスダクト工事を行う時は、次のことに注意して施工してください。
- バスダクト相互はしっかりと接続し、電線相互は電気が流れるように完全に接続すること。
- バスダクトを造営材に取り付ける場合は、ダクトの支持点間の距離を3m以下としてしっかり取り付けること。
なお、取扱者以外の者が立ち入らないように処置した場所で垂直に取り付ける場合は6mです。 - バスダクトの終端部は閉じること。
※換気型のダクトは除く。 - バスダクトの内部にちりやほこりが入ってこないようにすること。
※換気型のダクトは除く。 - 湿気の多い場所又は水気のある場所にバスダクトを施設する場合は、屋外用バスダクトを使用すること。また、バスダクトの内部に水が入ってきて溜まらないようにすること。
上記の5点に注意してバスダクト工事の施工を行ってください。
バスダクトの接地工事について
バスダクトは材質が金属製なので次の表のように接地工事が原則必要になります。
工事の名称 | 使用電圧 | |
---|---|---|
300V以下 | 300V超 | |
バスダクト工事 | D種接地工事 | C種接地工事 (条件付きでD種へ緩和) |
金属製のものは電気を流す材質なので漏電などにより電気が流れて人が感電したり火災事故が起きないようにする為に、接地工事を行い地中に埋めた接地極に電気を流す対策を施しましょう。
接地工事を行う時は、基本的には、低圧屋内配線の使用電圧が300V以下の時はバスダクトにはD種接地工事を、300Vを超える時はバスダクトにはC種接地工事を施すことになっていますが、接触防護措置を施す場合はD種接地工事でも行えます。
バスダクト工事の施設場所について
バスダクト工事を行ってもよい場所は、展開した場所と点検できる隠ぺい場所で、どちらも乾燥している場所なら使用電圧が300Vを超えていても施工できますが、展開した場所で湿気・水気がある場合は使用電圧が300V以下に限って施工できます。
※使用電圧が300Vを超えていても施工できますが一部300V以下の制限あり。
工事の名称 | 展開した場所 | 点検できる隠ぺい場所 | 点検できない隠ぺい場所 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
乾燥 | 湿気と水気 | 乾燥 | 湿気と水気 | 乾燥 | 湿気と水気 | |
バスダクト工事 | ○ | 300V以下に限る | ○ | × | × | × |
- 展開した場所とは、露出した天井や壁面などのこと。
- 点検できる隠ぺい場所とは、隠ぺいされているが点検口が設置されていて容易に点検できる場所のこと。天井裏や床下などのこと。
- 点検できない隠ぺい場所とは、点検口が設けられておらず容易に点検できない場所のこと。壁の内部や天井のふところなど。
※点検できる隠ぺい場所で湿気・水気がある場所、点検できない隠ぺい場所には施工できません。
バスダクト工事の施設場所(特殊な場所)について
バスダクト工事では、次のようなその他の粉じん(爆燃性粉じんと可燃性粉じん以外の粉じん)がある場所でしか施工できません。
工事の名称 | 爆燃性粉じんがある場所 | 可燃性粉じんがある場所 | その他の粉じんがある場所 | 可燃性のガス又は引火性物質がある場所 | 危険物を製造し又は貯蔵する場所 |
---|---|---|---|---|---|
バスダクト工事 | × | × | ○ | × | × |
※換気型のダクトでは特殊な場所は施工できません。
このように、バスダクト工事は一般的な場所(展開した場所、乾燥した点検できる隠ぺい場所)と爆燃性粉じんと可燃性粉じん以外の粉じんがある場所でしか施工することができないと覚えておきましょう。
このページは、電気設備の技術基準の解釈の第163条(バスダクト工事)などの内容を第二種電気工事士の筆記試験の勉強が少しでもはかどるようにわかりやすくまとめたものです。
バスダクト工事についてさらに詳しく知りたい方は、電気設備の技術基準の解釈に記載されているので目を通してください。
バスダクト工事の練習問題を解いてみよう
次のバスダクト工事に関する問題を解いて力をつけてください。
問題2のような、バスダクト工事の施工ができる場所を問う問題はよく出題されますので試験までに必ず解けれるようにしておいてください。
問題1
次のそれぞれの記述は、バスダクト工事での正しい施工方法であるか答えよ。
- イ.バスダクト相互は堅ろうに接続した
- ロ.バスダクトの内部にちりやほこりが入らないように施工した
- ハ.バスダクトの支持点間を3m以下となるように造営材に取り付けた
- 二.バスダクトの終端部は閉じずに工事を終わらせた
考え方:バスダクト工事では、支持点間の距離は3m以下です。
また、バスダクトは堅ろうに接続する、ちりやほこりが入らないようにする、終端部は閉じなければいけません。
答え:
イ.正しい
ロ.正しい
ハ.正しい
二.誤り
問題2
次のそれぞれの記述は、バスダクト工事が行える場所として正しいか答えよ。
- イ.乾燥していて展開した場所
- ロ.水気があり点検口がある隠ぺい場所
- ハ.点検口がない隠ぺい場所
- 二.爆燃性粉じんがある場所
考え方:バスダクト工事は、展開した場所と乾燥して点検口がある隠ぺい場所のみ施工できます。特殊な場所ではその他の粉じんがある場所でしか施工できません。
答え:
イ.正しい
ロ.誤り
ハ.誤り
二.誤り
問題3
次の記述からバスダクト工事を行う時の正しい接地工事を3つ答えよ。
- イ.300V以下の時はD種接地工事
- ロ.300V以下の時はC種接地工事
- ハ.300Vを超える時はC種接地工事
- 二.300Vを超える時は条件付きでD種接地工事へ緩和
考え方: バスダクト工事は、使用電圧に対してD種接地工事又はC種接地工事を行わなければなりません。上記の項目の「バスダクトの接地工事について」を参照してください。
答え: イ、ハ、二