金属可とう電線管工事の接地工事や施工場所と問題の解き方(第二種電気工事士の筆記試験対策)

第二種電気工事士

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4.金属可とう電線管工事の概要と接地工事・施工場所

金属可とう電線管工事とは、金属がじゃばらのように使ってある手で曲げることができる管のことです。管の中に電線を通して機械・器具へ電気を送る工事方法のことです。

金属可とう電線管の接地工事の種類、金属可とう電線管工事を行ってもよい場所は、電気設備の技術基準の解釈で決められています。

試験に出題される確率はあまり高くありませんが試験範囲に含まれていますし、実際に電気工事を行う時は必ず知っていなければならない知識なのでしっかり覚えてください。

このページの目次

金属可とう電線管工事について

金属可とう電線管工事とは、手で自在に曲げることができる金属製の可とう電線管を使う工事方法です。

金属製可とう電線管の種類には1種と2種の2つのタイプがあります。どちらも金属製可とう電線管ですが、1種金属製可とう電線管は施工できる場所に制限があるので、2種金属製可とう電線管を使うことが多いです。

金属可とう電線管工事で使用してもよい低圧屋内配線の電線は、屋外用ビニル絶縁電線(OW)を除く絶縁電線で、より線又は直径3.2mm(アルミ線は4mm)以下の単線であることとされています。
※一般的には、600Vビニル絶縁電線(IV線)が広く使われています。

金属可とう電線管と金属管を連結させたり、金属可とう電線管の途中に接続点を設けて金属可とう電線管を分岐させたりする時は、カップリング、ボックスコネクタ、アウトレットボックスなどの付属品を使い、金属可とう電線管やボックスとは電気的に完全に接続させます。
※金属可とう電線管に適合した付属品が用意されているので電気工事を行う時は間違えないようにしてください。

また、金属製可とう電線管を曲げる時は、曲げ半径(屈曲部の内側の半径)が決まっており、原則、管の内径の6倍以上となるように曲げてください。但し、展開した場所と点検できる隠ぺい場所に施工する時は曲げ半径を3倍以上にできます。

サドルなどで金属可とう電線管を支持する支持点間の距離は、内線規定では、造営材の側面や下部へ水平に取り付ける場合は1m以下、ボックスや器具との接続箇所では0.3m以下となっています。

金属可とう電線管の端口は電線の被覆を損傷しないような構造のものを使い、重量物の圧力や著しい機械的衝撃を受けるおそれがないように施設するようにしてください。

金属可とう電線管を造営材などに据え付けたら電線を収めて配線を行っていきますが、金属可とう電線管の中に電線の接続点を設けることは許されていませんので、電線を接続する時は必ずボックスを設けてその中で行うようにしてください。

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金属製可とう電線管の接地工事について

金属製可とう電線管の接地工事を表にまとめると次のようになります。

金属製可とう電線管の接地工事の表
工事の名称使用電圧
300V以下300V超
金属可とう電線管工事D種接地工事
(条件付きで省略可能)
C種接地工事
(条件付きでD種へ緩和)

接地工事を行う時は、基本的には、低圧屋内配線の使用電圧が300V以下の時は金属製可とう電線管にはD種接地工事を、300Vを超える時は金属製可とう電線管にはC種接地工事を施すことになっています。しかし、使用電圧が300V以下で次の条件に該当する場合は接地工事を省略することができます。

  • 金属製可とう電線管の長さが4m以下であるとき

その他では、低圧屋内配線の使用電圧が300Vを超えるは時C種接地工事を施しますが、接触防護措置を施す場合はD種接地工事でも行えます。

このように、金属可とう電線管工事は接地工事を行う必要があります。

金属製の管は電気を流す材質なので漏電などにより金属製の管に電気が流れて人が感電したり火災事故などが起きないようにする為に、接地工事を行い電気を地中に埋めた接地極に流す対策を施しましょう。

金属可とう電線管工事の施設場所について

金属可とう電線管工事が施設できる場所を表にまとめると次のようになります。

金属可とう電線管工事の施設場所の表
工事の名称展開した場所点検できる隠ぺい場所点検できない隠ぺい場所
乾燥湿気と水気乾燥湿気と水気乾燥湿気と水気
金属可とう電線管工事
(1種でも可能)

(1種でも可能)
  • 展開した場所とは、露出した天井や壁面などのこと。
  • 点検できる隠ぺい場所とは、隠ぺいされているが点検口が設置されていて容易に点検できる場所のこと。天井裏や床下などのこと。
  • 点検できない隠ぺい場所とは、点検口が設けられておらず容易に点検できない場所のこと。壁の内部や天井のふところなど。

※湿気の多い場所や水気のある場所に施設する場合は防湿装置を施してください。

※原則2種金属製可とう電線管を使って施工しますが、次の条件に当てはまれば1種金属製可とう電線管を使用できます。

  1. 展開した場所、点検できる隠ぺい場所で乾燥しているとき
  2. 使用電圧が300Vを超える場合は、電動機に接続する部分で可とう性を必要とする部分であるとき
  3. 管の厚さは、0.8mm以上であるとき

このように、金属可とう電線管工事を行ってもよい場所は、乾燥した場所、湿気が多く水気がある場所を問わず展開した場所、点検できる隠ぺい場所、点検できない隠ぺい場所に施工できます。
※使用電圧が300V以下でも300Vを超えていても施工できます。

金属可とう電線管工事の施設場所(特殊な場所)について

金属可とう電線管工事では、次のようなその他の粉じん(爆燃性粉じんと可燃性粉じん以外の粉じん)がある場所でしか施工できません。

金属可とう電線管工事の特殊な施設場所の表
工事の名称爆燃性粉じんがある場所可燃性粉じんがある場所その他の粉じんがある場所可燃性のガス又は引火性物質がある場所危険物を製造し又は貯蔵する場所
金属可とう電線管工事××××

このように、金属可とう電線管工事は一般的な場所と爆燃性粉じんと可燃性粉じん以外の粉じんがある場所でしか施工することができないと覚えておきましょう。

このページは、電気設備の技術基準の解釈の第160条(金属可とう電線管工事)などの内容を第二種電気工事士の筆記試験の勉強が少しでもはかどるようにわかりやすくまとめたものです。金属可とう電線管工事についてさらに詳しく知りたい方は、電気設備の技術基準の解釈に記載されているので目を通してください。

金属可とう電線管工事の練習問題を解いてみよう

次の金属可とう電線管工事に関する問題を解いて力をつけてください。

問題2のような、金属可とう電線管工事の施工ができる場所を問う問題は出題される傾向が高いので試験までに必ず解けれるようにしておいてください。

問題1

次のそれぞれの記述は、金属可とう電線管工事での正しい施工方法であるか答えよ。

  • イ.金属製可とう電線管の中に絶縁電線を収めて配線した
  • ロ.金属製可とう電線管に接続したアウトレットボックスの中で絶縁電線どうしを結線した
  • ハ.金属製可とう電線管の支持点間を1m以下として造営材の側面に取り付けた
  • 二.金属製可とう電線管を管の内径の6倍以上で曲げた

考え方:金属可とう電線管工事では、絶縁電線を金属製可とう電線管の中へ収めなければいけません。
また、電線を接続する時はボックスを設けてその中で行うこと、造営材の側面や下部への支持点間は1m以下(ボックスや器具との接続箇所は0.3m以下)、曲げ半径は管の内径の6倍以上で曲げることとなっています。

答え:
イ.正しい
ロ.正しい
ハ.正しい
二.正しい

問題2

次のそれぞれの記述は、金属可とう電線管工事が行える場所として正しいか答えよ。施工時は、2種金属製可とう電線管を使い、湿気や水気のある場所では防湿装置を施すものとする。

  • イ.展開した場所
  • ロ.点検口がある隠ぺい場所
  • ハ.点検口がない隠ぺい場所
  • 二.爆燃性粉じんと可燃性粉じん以外の粉じんがある場所

考え方:金属可とう電線管工事は、2種金属製可とう電線管を使えば一般的なすべての場所に施工できます。特殊な場所では、爆燃性粉じんと可燃性粉じん以外の粉じんがある場所のみ施工できます。

答え:
イ.正しい
ロ.正しい
ハ.正しい
二.正しい

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