1.ケーブル工事の概要と接地工事・施工場所
ケーブル工事とは、ケーブルを使って機械・器具へ電気を送る工事方法のことです。
ケーブルの接地工事の種類、ケーブル工事を行ってもよい場所は、電気設備の技術基準の解釈で決められています。
試験に出題される確率はあまり高くありませんが試験範囲に含まれていますし、実際に電気工事を行う時は必ず知っていなければならない知識なのでしっかり覚えてください。
このページの目次
ケーブル工事について
ケーブル工事で使うケーブルの種類としては、ビニル外装、ポリエチレン外装、クロロプレン外装などを使ったケーブル、3種キャブタイヤケーブル、4種キャブタイヤケーブルなどがあります。
※ケーブルとは、絶縁電線を何本かひとまとめにして、さらに絶縁被覆を外装として覆ったもののことです。ケーブルと絶縁電線は違うものなので間違えないようにしてください。
分岐回路からコンセントや照明器具などの各目的の場所へ配線される低圧屋内配線の電気工事で一般的によく使われるケーブルとしてはVVFケーブルがあります。
ケーブル工事では、造営材(壁や柱などの建物の構造材)にステップルやサドルなどの支持材を使ってケーブルを固定していきます。
ケーブルを支持する時は、支持点間の距離(支持材と支持材との距離)を基本的には2m以下にしますが、人が触れる恐れがない場所で垂直に取り付ける時は6m以下にできます。
※キャブタイヤケーブルの支持点間の距離は1m以下です。
VVFケーブルを隠ぺい箇所で結線する時は、VVF用ジョイントボックス内で差込形コネクタやリングスリーブを使って結線しても構いません。
また、ケーブルを曲げる時は、曲げ半径(屈曲部の内側の半径)が決まっており、ケーブル外径の6倍以上となるように曲げてください。
その他では、ケーブルなどを施工する時は、電気設備の技術基準では次のように定めています。
- 配線は、他の配線や弱電流電線等と接近・交差する場合は、混触による感電・火災のおそれがないように施設すること。
- 配線は、水道管、ガス管などと接近・交差する場合は、放電によりこれらの工作物を損傷するおそれがなく、漏電又は放電によりこれらの工作物を介して感電・火災のおそれがないように施設すること。
このように定められていますので、水道管、ガス管、電話線などと接触させないように施工しましょう。
ケーブルの接地工事について
ケーブルの接地工事を表にまとめると次のようになります。
工事の名称 | 使用電圧 | |
---|---|---|
300V以下 | 300V超 | |
ケーブル工事 | D種接地工事 (条件付きで省略可能) | C種接地工事 (条件付きでD種へ緩和) |
接地工事を行う時は、基本的には、低圧屋内配線の使用電圧が300V以下の時で、管とその他の電線を収める防護装置の金属製部分と金属製の電線接続箱及び電線の被覆に使用する金属体にはD種接地工事を、300Vを超える時はC種接地工事を施すことになっています。しかし、使用電圧が300V以下で次の条件に該当する場合は接地工事を省略することができます。
- 防護装置の金属製部分の長さが4m以下のものを乾燥した場所に施設するとき
- 屋内配線の使用電圧が直流300V又は交流対地電圧150V以下の場合で、防護装置の金属製部分の長さが8m以下のものに簡易接触防護措置を施すとき又は乾燥した場所に施設するとき
その他では、低圧屋内配線の使用電圧が300Vを超えるは時は、管その他の電線を収める防護装置の金属製部分と金属製の電線接続箱及び電線の被覆に使用する金属体にはC種接地工事を施しますが、接触防護措置を施す場合はD種接地工事でも行えます。
ケーブル工事の施設場所について
ケーブル工事が施設できる場所を表にまとめると次のようになります。
工事の名称 | 展開した場所 | 点検できる隠ぺい場所 | 点検できない隠ぺい場所 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
乾燥 | 湿気と水気 | 乾燥 | 湿気と水気 | 乾燥 | 湿気と水気 | |
ケーブル工事 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
※キャブタイヤケーブルは種類によって施工してよい場所が異なります。
- 展開した場所とは、露出した天井や壁面などのこと。
- 点検できる隠ぺい場所とは、隠ぺいされているが点検口が設置されていて容易に点検できる場所のこと。天井裏や床下などのこと。
- 点検できない隠ぺい場所とは、点検口が設けられておらず容易に点検できない場所のこと。壁の内部や天井のふところなど。
このように、ケーブル工事を行ってもよい場所は、乾燥した場所、湿気が多く水気がある場所を問わず展開した場所、点検できる隠ぺい場所、点検できない隠ぺい場所に施工できます。
※使用電圧が300V以下でも300Vを超えていても施工できます。
ケーブル工事の施設場所(特殊な場所)について
ケーブル工事では、上記の一般的な施工場所以外でも、次のような特殊な場所で施工してもよいとされています。
- 爆燃性粉じん(マグネシウム、アルミニウム等の粉じん)がある場所(キャブタイヤケーブルは除く)
- 可燃性粉じん(小麦粉、でん粉等の粉じん)がある場所
- 爆燃性粉じんと可燃性粉じん以外の粉じんがある場所
- 可燃性のガス又は引火性物質がある場所(キャブタイヤケーブルは除く)
- 危険物を製造し、又は貯蔵する場所
但し、MIケーブルなどの外装を有するケーブルを使用して工事を行ってください。それ以外のケーブルでは、管やその他の防護装置に収めて施設することとされています。また、キャブタイヤケーブルは施工してよい場所が異なります。
ケーブル工事が施設できる特殊な場所を表にまとめると次のようになります。
工事の名称 | 爆燃性粉じんがある場所 | 可燃性粉じんがある場所 | その他の粉じんがある場所 | 可燃性のガス又は引火性物質がある場所 | 危険物を製造し又は貯蔵する場所 |
---|---|---|---|---|---|
ケーブル工事 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
このように、ケーブル工事は基本的にはどこの場所でも施工することができると覚えておきましょう。
このページは、電気設備の技術基準の解釈の第164条(ケーブル工事)などの内容を第二種電気工事士の筆記試験の勉強が少しでもはかどるようにわかりやすくまとめたものです。ケーブル工事についてさらに詳しく知りたい方は、電気設備の技術基準の解釈に記載されているので目を通してください。
ケーブル工事の練習問題を解いてみよう
次のケーブル工事に関する問題を解いて力をつけてください。
問題2のような、ケーブル工事の施工ができる場所を問う問題はよく出題されますので試験までに必ず解けれるようにしておいてください。
問題1
次のそれぞれの記述は、ケーブル工事での正しい施工方法であるか答えよ。
- イ.VVFケーブルを使って配線した
- ロ.隠ぺいされた場所なのでVVF用ジョイントボックスの中で電線どうしを結線した
- ハ.接触防護処置がされていないケーブルの支持点間の距離を1.5mとして支持金具で固定した
- 二.ケーブル外径の6倍以上でケーブルを曲げた
考え方:ケーブル工事では、ビニル外装、ポリエチレン外装、クロロプレン外装などを使ったケーブル、3種キャブタイヤケーブル、4種キャブタイヤケーブルなどを使います。
また、ケーブルの支持点間の距離は原則2m以下(接触防護処置がされていれば6m以下)、曲げ半径はケーブル外径の6倍以上で曲げることとなっています。VVFケーブルを結線する時は隠ぺいされている場所ならVVF用のジョイントボックスを設けて結線が行えます。
答え:
イ.正しい
ロ.正しい
ハ.正しい
二.正しい
問題2
次のそれぞれの記述は、ケーブル工事が行える場所として正しいか答えよ。
- イ.展開した場所
- ロ.点検口がある隠ぺい場所
- ハ.点検口がない隠ぺい場所
- 二.爆燃性粉じんがある場所
考え方:ケーブル工事は基本的にどんな場所でも施工できます。但し、キャブタイヤケーブルは種類によって施工してよい場所が異なります。
答え:
イ.正しい
ロ.正しい
ハ.正しい
二.正しい