1.配電方式の種類
電気の配電方式は1つだけではありません。いろいろ種類があります。
電気の配電方式の種類は、単相2線式、単相3線式、三相3線式の3種類です。
各配電方式は出力電圧と位相が異なります。試験に出題される確率は高いのでどのように違うのかしっかり覚えてください。
このページの目次
単相2線式、単相3線式、三相3線式の特徴
電力会社の配電線からそれぞれの建物へ電気を供給する時の配電方式には、次の回路図のように単相2線式(1Φ2W)、単相3線式(1Φ3W)、三相3線式(3Φ3W)の3種類が広く使われています。
※電気配線図面などでは、相のことをΦ(ファイ)、線のことをWという記号で表します。
電気を低圧で使う為の配電方式は3種類ありますが、大きく分けると単相と三相の2種類に分けられます。
単相と三相は何が違うのかというと、単相は位相がずれていない方式で三相は位相が120°ずつずれている方式です。使用用途は、単相は消費電力が小さい機器を使う一般家庭、三相はハイパワーの電気機器が置かれているビルや工場で使われています。
また、上の図を見ると単相には単相2線式と単相3線式がありますよね。単相2線式は電線が2本で施工されていて100Vが取り出せること、単相3線式は電線が3本で施工されていて100Vと200Vの両方が取り出せることの違いです。
各配電方式は、施工される場所が概ね決まっていますので、好きな配電方式を選べれる訳ではありません。
下に単相2線式、単相3線式、三相3線式の特徴を述べますので頭に入れてください。
単相2線式(1Φ2W)
単相2線式は、2本の電線が引き込まれており、電圧線と中性線(接地された電線)をつないで100Vを取り出す配電方式です。
100Vで動く電気機器を使う配電方式として昔の一般住宅で広く普及していました。
対地電圧は100Vです。
単相3線式(1Φ3W)
単相3線式は、3本の電線が引き込まれており、電圧線と中性線(接地された電線)をつないで100Vを取り出す場合と電圧線と電圧線をつないで200Vを取り出す場合の2通りの電圧を取り出すことができる配電方式です。
現在の主流となる配電方式です。100V又は200Vを取り出すことができるので、100Vで動く普通の電気機器と200Vで動くIHクッキングヒーターや大容量のエアコンなどを使うことができます。
対地電圧は100Vです。
三相3線式(3Φ3W)
三相3線式は、3本の電線が引き込まれており、どの電線とをつないでも200Vを取り出すことができる配電方式です。
三相交流は、120°ずつ位相をずらして起電力と周波数が同じ単相交流を3つ組み合わせて作られているので、ビルや工場での大型の電動機(送風機、ポンプ、エレベーターなど)を安定して運転する為の動力設備用の電源として使われています。
対地電圧は200Vです。
※電気設備技術基準では、対地電圧(電線と大地間の電位差)を150V以下とするように定めています。
また、電路に過電流遮断器や漏電遮断器を設置して安全性を高めたり人が容易に触れないように敷設した場合は対地電圧を300V以下として使用できます。
ですので、単相2線式の対地電圧は100V、単相3線式の対地電圧は100V、三相3線式の対地電圧は200Vとなっています。
配電方式の練習問題を解いてみよう
次の配電方式に関する問題を解いて力をつけてください。
問題1~3のような、各配電方式は何ボルトの電気が取り出せれるかを問う問題はよく出題されますので試験までに必ず解けれるようにしておいてください。
問題1
単相2線式の配電方式で電気を引き込む工事をした時は低圧側で使用できる電圧はいくらか。次から1つ選んで答えよ。
- イ.100V
- ロ.200V
- ハ.300V
- 二.100Vと200Vの両方
考え方:位相がずれておらず電線を2本使った方式です。上記の配電方式の図を確認してください。
答え: イ
問題2
単相3線式の配電方式で電気を引き込む工事をした時は低圧側で使用できる電圧はいくらか。次から1つ選んで答えよ。
- イ.100V
- ロ.200V
- ハ.300V
- 二.100Vと200Vの両方
考え方:位相がずれておらず電線を3本使った方式です。上記の配電方式の図を確認してください。
答え: ニ
問題3
三相3線式の配電方式で電気を引き込む工事をした時は低圧側で使用できる電圧はいくらか。次から1つ選んで答えよ。
- イ.100V
- ロ.200V
- ハ.300V
- 二.100Vと200Vの両方
考え方:位相が120°ずれており電線を3本使った方式です。上記の配電方式の図を確認してください。
答え: ロ