がいし引き工事の概要と問題の解き方(第二種電気工事士の筆記試験対策)

第二種電気工事士

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5.がいし引き工事の概要と接地工事・施工場所

がいし引き工事とは、がいしと電線を使って機械・器具へ電気を送る工事方法のことです。

がいしの接地工事やがいし引き工事を行ってもよい場所は、電気設備の技術基準の解釈で決められています。

試験に出題される確率はあまり高くありませんが試験範囲に含まれていますし、実際に電気工事を行う時は必ず知っていなければならない知識なのでしっかり覚えてください。

このページの目次

がいし引き工事について

一般的な電気工事の種類としては、ケーブル工事金属管工事合成樹脂管工事金属可とう電線管工事があり、それらの工事方法は様々な場所に施工できるのでよく使われています。

その他でも施工できる場所に制限はありますが目的に応じて様々な低圧の屋内配線工事があり、がいし引き工事も配線工事を行う時に用いる工事の1つとなります。

がいし引き工事とは、がいしと呼ばれる電気絶縁性に優れた陶磁器を造営材に固定して、電線をバインド線でがいしに結びつけて動かないように取り付ける工事方法です。

がいし引き工事で使用してもよい低圧屋内配線の電線は、絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線、引込用ビニル絶縁電線、引込用ポリエチレン絶縁電線を除く)であることとされています。

配線を行う時は、電線相互間の距離は6cm以上離して、電線と造営材との離隔距離は、使用電圧が300V以下の場合は2.5cm以上、300Vを超える場合は4.5cm(乾燥した場所では2.5cm)以上必要となります。

電線の支持点間の距離は、電線を造営材の上面又は側面に沿って取り付ける場合は2m以下です。
※使用電圧が300Vを超えるものは6m以下。

電線が他の低圧屋内配線又は管灯回路の配線と接近・交差する場合は、他の低圧屋内配線又は管灯回路の配線との離隔距離は10cm以上です。
※がいし引き工事により施設する低圧屋内配線が裸電線である場合は30cm以上。

また、がいし引き工事により施設する低圧配線が、弱電流電線等又は水管、ガス管などと接近・交差する場合は、低圧配線と弱電流電線等又は水管等との離隔距離は10cm以上です。
※がいし引き工事により施設する低圧配線が裸電線である場合は30cm以上。

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がいしの接地工事について

がいしは電気絶縁性に優れているので、がいしを使って電線を配線した時は接地工事はいりません。

電線相互、造営材との離隔距離、電線の支持点間の距離を守って施工してください。

がいし引き工事の施設場所について

がいし引き工事が施設できる場所を表にまとめると次のようになります。

がいし引き工事の施設場所の表
工事の名称展開した場所点検できる隠ぺい場所点検できない隠ぺい場所
乾燥湿気と水気乾燥湿気と水気乾燥湿気と水気
がいし引き工事××

※点検できない隠ぺい場所には施工できません。
※がいしは、絶縁性、難燃性及び耐水性のあるものを使用すること。
※使用電圧が300V以下の場合は電線に簡易接触防護措置を施し、使用電圧が300Vを超える場合は電線に接触防護措置を施すこと。

  • 展開した場所とは、露出した天井や壁面などのこと。
  • 点検できる隠ぺい場所とは、隠ぺいされているが点検口が設置されていて容易に点検できる場所のこと。天井裏や床下などのこと。
  • 点検できない隠ぺい場所とは、点検口が設けられておらず容易に点検できない場所のこと。壁の内部や天井のふところなど。

このように、がいし引き工事を行ってもよい場所は、上の「がいし引き工事の施設場所の表」のように展開した場所と点検できる隠ぺい場所で、どちらも乾燥・湿気・水気のあるなしを問わず施工できます。

また、使用電圧が300V以下でも300Vを超えていても施工できます。

がいし引き工事の施設場所(特殊な場所)について

がいし引き工事では、上記の施設場所の他には、次の「がいし引き工事の特殊な施設場所の表」のようなその他の粉じん(爆燃性粉じんと可燃性粉じん以外の粉じん)がある場所でも施工できます。

がいし引き工事の特殊な施設場所の表
工事の名称爆燃性粉じんがある場所可燃性粉じんがある場所その他の粉じんがある場所可燃性のガス又は引火性物質がある場所危険物を製造し又は貯蔵する場所
がいし引き工事××××

このように、がいし引き工事は一般的な場所(展開した場所と点検できる隠ぺい場所)と爆燃性粉じんと可燃性粉じん以外の粉じんがある場所でしか施工することができないと覚えておきましょう。

このページは、電気設備の技術基準の解釈の第157条(がいし引き工事)などの内容を第二種電気工事士の筆記試験の勉強が少しでもはかどるようにわかりやすくまとめたものです。

がいし引き工事についてさらに詳しく知りたい方は、電気設備の技術基準の解釈に記載されているので目を通してください。

がいし引き工事の練習問題を解いてみよう

次のがいし引き工事に関する問題を解いて力をつけてください。

問題2のような、がいし引き工事の施工ができる場所を問う問題はよく出題されますので試験までに必ず解けれるようにしておいてください。

問題1

次のそれぞれの記述は、がいし引き工事での正しい施工方法であるか答えよ。

  • イ.屋外用ビニル絶縁電線、引込用ビニル絶縁電線、引込用ポリエチレン絶縁電線を除く絶縁電線で配線した
  • ロ.電線相互間の距離は6cm以上離して配線した
  • ハ.使用電圧が300V以下なので電線と造営材との離隔距離を5cm以上とした
  • 二.使用電圧が300V以下なのでがいしを造営材の側面に沿って2m以下の間隔となるように取り付け電線を配線した

考え方:がいし引き工事では、屋外用ビニル絶縁電線、引込用ビニル絶縁電線、引込用ポリエチレン絶縁電線を除く絶縁電線を使用しなければいけません。

また、電線相互間の距離は6cm以上にすること。使用電圧が300V以下の場合は、電線と造営材との離隔距離は2.5cm以上、造営材の上面や側面に沿う時はがいしの間隔は2m以下となるように取り付けます。

答え:
イ.正しい
ロ.正しい
ハ.間違っています。使用電圧が300V以下では電線と造営材との離隔距離は2.5cm以上。
二.正しい

問題2

次のそれぞれの記述は、がいし引き工事が行える場所として正しいか答えよ。がいしは、絶縁性、難燃性及び耐水性があるものを使用するものとする。

  • イ.展開した場所
  • ロ.点検口がある隠ぺい場所
  • ハ.点検口がない隠ぺい場所
  • 二.爆燃性粉じんと可燃性粉じん以外の粉じんがある場所

考え方:がいし引き工事は、展開した場所・点検口がある隠ぺい場所には施工できます。点検口がない隠ぺい場所には施工できません。

答え:
イ.正しい
ロ.正しい
ハ.間違っています。
二.正しい

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