原子レベルでの電気が流れる仕組みを理解する

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1.電気が流れる仕組みを原子レベルで理解する

電気とは自由電子が動いたことにより電流が流れる現象のことです。

通常は電子は原子核の周りを回って安定状態になっていますが、何かの力が加わって原子核の周りから飛び出してしまうことがあります。

その飛び出した電子のことを自由電子といって、自由電子がマイナス極からプラス極へ移動することで電流が流れます。

なお、電流はプラス極からマイナス極へ流れますが、電子はマイナス極からプラス極へ移動します。つまり、電流と電子の流れは逆方向です。

このページの目次

電気って何ですか?

電気(電流)の正体

電気は人間の目には見えないので、電線やコンセントを見ても電気が流れているのか流れていないのか判断ができず取り扱いが難しいものです。

例えば、電気が流れているのか確認するには、

  • テレビのスイッチを入れたら画面が映った
  • 照明器具のスイッチを入れたら蛍光灯が点灯した
  • 洗濯機のスイッチを入れたら回転した

というように、電化製品のスイッチを入れて初めて電気が流れていることがわかります。

そもそも、この「電気」というものはいったい何者なのか疑問に思ったことはないでしょうか?

簡単にいうと、電気とは自由電子の移動により電流が流れることを表しています。次のような定義があります。

  • 1[A]の大きさの電流が流れる時は、1秒間に1[C] の電荷が流れる

このような原理原則があるので、電子は電荷を運ぶ役割があります。
※Aはアンペア、Cはクーロンと読みます。

なお、電子が移動する方向と電流が流れる方向は逆になります。電子1個の電気量は、-1.6×10-19[C]です。

家の中にある蛍光灯は、スイッチをオン・オフすると一瞬で点いたり消えたりできますよね。電子は電界の影響を受けて光と同じ速さ(1秒間に約30万km)で流れているので一瞬で電気機器を動作できるんです。

このように、電気は目には見えませんが理論的に解明されているのです。

電気は原子レベルから勉強すると非常に難しいので、1Vを加えた時に1A流れる時の抵抗の大きさは1Ωといわれているオームの法則から勉強していくことをおすすめします。

物質を構成する原子の構造

物質の原子の構造

この世の中のすべての生き物・物質は原子といわれる微小な粒子が集まってでできています。原子は原子核と電子で構成されていて、原子核は陽子と中性子でできていてプラスの電荷を帯びており、電子はマイナスの電荷を帯びています。
※電荷とは物質が帯びている電気の量のことです。プラスの電荷(正の電荷)とマイナスの電荷(負の電荷)の2種類があります。なお、原子核を構成している電荷を持たない粒子を中性子といいます。

電子は原子核の周りをぐるぐるまわっていますが、何かの拍子で電子に力(エネルギー)が加えられるとその軌道から飛び出してしまうことがあります。その飛び出してしまった電子のことを自由電子といい、自由電子になると原子の束縛を逃れ導体中を移動できるようになるので、その結果、電流が流れます。
※電子は、9.1×10-31[kg]の質量を持った素粒子でマイナスの電荷を帯びていて、自由電子が多い物質である程、電流は流れやすくなります。

しかし、すべての物質に電流が流れるわけではなく、金、銀、銅、アルミニウム、鉄などの金属は自由電子が生じやすく電流は流れやすいですが、ガラス、ゴム、木材などの非金属は自由電子が生じにくい為に電流は流れない(流れにくい)性質があります。

電流が物質の中を流れられるかどうかは、原子核の周りの軌道から電子が離れられる数が多いかどうかで決まります。

導体、半導体、絶縁体で電気の流れやすさは変わる

電気は物質によって電気の流れやすさは異なっていて、電気が流れやすい物質のことを導体、電気が流れにくい又は流れない物質のことを絶縁体、その他に、導体と絶縁体の両方の性質を持っていて、ある条件では導体として働き、ある条件になると絶縁体として働く物質のことを半導体といいます。
※よく使われる物質としては、導体は銅、絶縁体はゴム、半導体はシリコンやゲルマニウムです。

物質が、導体、半導体、絶縁体なのかは抵抗率を見ればわかります。抵抗率は物質ごとに固有の値を持っていて、温度の違いで大きくなったり小さくなったり変化します。抵抗率が大きい物質程、電流は流れにくくなります。

導体の特徴

導体とは、金属などのような電気をよく通すもののことです。導体の特徴は、金属の原子の配列は規則正しく並んでいて自由電子は多く存在している状態です。

通常は、原子核の周りを電子が回っていますが、外部から光、熱などのエネルギーが加わると電子は原子核を回る軌道を飛び越えて自由電子となり動き出すようになります。

導体の抵抗率の特徴としては、物質の温度が低くなると抵抗率も低くなり、物質の温度が高くなると抵抗率も高くなります。

物質の温度が高くなると原子の振動が大きくなるので、自由電子が原子にぶつかりながら移動する割合が高くなり、衝突した時に発生する熱(ジュール熱)も大きくなります。

したがって、導体は物質の温度が高くなると電流は流れにくくなります。

抵抗率でいうと、10-5[Ω・m]よりも小さい物質の場合は導体といわれます。

半導体の特徴

半導体とは、共有結合で原子がつながっている状態のもののことをいいます。

半導体の特徴としては、物質の温度が低いと抵抗率が高くなり、物質の温度が高いと抵抗率が低くなるので、物質の温度が上がると抵抗率が下がることにより電子が自由に動き回れるようになり電流がよく流れるようになります。

抵抗率でいうと、10-5~104[Ω・m]の物質の場合は半導体といわれます。

絶縁体の特徴

絶縁体とは、原子核の束縛が強く自由電子の移動が少ない物質のことです。また、非常に大きな電圧を加えなければ電流は流れない特徴があります。

抵抗率でいうと、104[Ω・m]よりも大きい物質の場合は絶縁体といわれます。

電気が流れる現象のまとめ

発電所で作った交流の電気でも乾電池の直流の電気でも、自由電子が移動したことによる電流の流れが電気の正体です。

蛍光灯やテレビなどの電化製品がつくことを電気が流れると言いますが、電気という言葉を電流に置き換えると、蛍光灯やテレビに電流が流れたからついたんだなということが理解できた思います。
※電圧が流れるとは言いませんよね。

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