2.遮断器の動作時間と極と素子
遮断器とは、過電流が流れた時に電気機器や電路が壊れるのを保護する機器です。
遮断器には、ヒューズと配線用遮断器の2種類があり、電気機器や電路を保護する為に電流を流れなくする動作時間が決められています。
試験に出題される確率は高いですので、ヒューズと配線用遮断器の動作時間をしっかり覚えてください。
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遮断器の動作時間
遮断器の役割は、電路を過電流から保護するために使うものです。
電路は電線の太さによって電流を流してもよい許容電流が決められています。もし、その許容電流以上の電流が流れてしまうと最悪の場合は電線が燃えてしまいます。
また、電路を許容電流以内で使っていても何かの原因で短絡(ショート)してしまうと大電流が流れて、電気機器が故障する、電線や電気機器が発火して火災が起きることがあるので大変危険です。
短絡の原因は、
- 電線の被覆の絶縁の劣化
- 電線に傷がつく
- コンセントの極の間や電気機器の内部にほこりが溜まって湿気を帯びる
などがあります。
様々な原因が重なり合い短絡して電気機器に定格以上の電流が流れると製品が壊れたり電線から出火したりして火事になる可能性がありますので、もしもの時の為に、電気機器の電源側に遮断器というものを設置して過電流が流れても電気を安全に使えられるようにしなければいけません。
遮断器の種類は、主にヒューズと配線用遮断器に分かれます。遮断器の身近なものをとりあげてみますと、次のようなものがあります。
- ヒューズ
- ヒューズは、車や工場の機械に使われています。
車のワイパー、ルームランプ、シガーソケットなどの電装品、工場の機械にはヒューズというものが取り付けられていて、過電流が流れるとヒューズが溶けて製品を保護してくれます。ヒューズは1回限りしか使えず切れたら新しいヒューズに交換しなければいけません。 - 配線用遮断器
- 配線用遮断器は、家の分電盤につけられています。
エアコン、電気釜、ドライヤーなどを同時に使うとブレーカーが落ちるとか言われているブレーカーのことです。配線用遮断器はレバーを上下(ON/OFF)させて使いますので、ブレーカーが落ちてもスイッチを入れ直せば何回でも使えます。
これらの遮断器には、必要以上の電流が流れたらどのくらいの時間で電流を流れなくしなければいけないという時間が決まっています。
それでは、ヒューズと配線用遮断器の動作時間について見ていきましょう。
ヒューズの動作時間
ヒューズは、過電流が流れた時に電流の流れを止める動作時間が決められています。
ヒューズには、次の表のような関係があります。ヒューズの定格電流と動作時間を覚えましょう。
定格電流 | 動作時間 | |
---|---|---|
定格電流の1.6倍の電流 | 定格電流の2倍の電流 | |
30A以下 | 60分 | 2分 |
30Aを超え60A以下 | 60分 | 4分 |
60Aを超え100A以下 | 120分 | 6分 |
配線用遮断器の動作時間
配線用遮断器(ブレーカー)には、過電流が流れた時に電流の流れを止める動作時間が決められています。
配線用遮断器の動作時間について覚えましょう。
定格電流 | 動作時間 | |
---|---|---|
定格電流の1.25倍の電流 | 定格電流の2倍の電流 | |
30A以下 | 60分 | 2分 |
30Aを超え50A以下 | 60分 | 4分 |
50Aを超え100A以下 | 120分 | 6分 |
配線用遮断器の極と素子
配線用遮断器には、極と素子という言葉があります。
極はなんとなくイメージでわかると思いますが、素子というものもあるのでしっかり覚えてください。
- 極とは、非接地極、接地極といわれる極のことです。
- 素子とは、過電流を引き外す為の素子のことです。素子に過電流が流れて感知するとブレーカを遮断します。
このように、過電流を感知するには素子が必要になり重要な役割をしています。
2極の配線用遮断器を例にして説明すると極と素子の数は、
- 2極1素子(2P1E)
- 2極2素子(2P2E)
があります。
2極1素子(2P1E)の配線用遮断器には1極のみに過電流引き外し素子があり、2極2素子(2P2E)の配線用遮断器には両極とも過電流引き外し素子があります。
原則は、それぞれの極に過電流引き外し素子を付けなければいけませんが、対地電圧が150V以下の場合では、2極1素子(2P1E)の配線用遮断器を使うことができます。
2極1素子(2P1E)の配線用遮断器を使う場合は、過電流引き外し素子がない端子に中性線(接地線)を接続する配線方法としてください。
主に、2極1素子(2P1E)の配線用遮断器は、単相2線式回路に使うことができますが、単相3線式回路の非接地側と中性線とを接続して100Vとして取り出す場合にも使うことができます。
但し、配線用遮断器で素子がついてない極にはNマークが書かれているのでNマークの極は中性線や接地線に接続して使います。
2極2素子(2P2E)の配線用遮断器は、単相2線式回路でも単相3線式回路(非接地側と非接地側をつないで200V、非接地側と中性線をつないで100V)でも使うことができます。
遮断器の練習問題を解いてみよう
次の遮断器に関する問題を解いて力をつけてください。
問題1と2のような、遮断器の動作時間を問う問題はよく出題されますので試験までに必ず解けれるようにしておいてください。
問題1
定格電流30Aのヒューズに60Aの電流が流れた時、溶断しなければならない最大の時間はいくらか?
考え方:ヒューズの動作時間の表から読み取りましょう。
答え 2分
問題2
定格電流40Aの配線用遮断器に50Aの電流が流れた時、自動的に動作しなければならない最大の時間はいくらか?
考え方:配線用遮断器の動作時間の表から読み取りましょう。
答え 60分
問題3
低圧屋内電路を過電流から保護できないものは、次の内のどれが当てはまるか?
- イ.ヒューズ付きナイフスイッチ
- ロ.ヒューズ付きカットアウトスイッチ
- ハ.タンブラスイッチ
- 二.過電流素子付き漏電遮断器
考え方:タンブラスイッチとは、つまみを倒して開閉するだけのスイッチのことです。
答え ハ