1.電気工事士の国家資格の基本知識
電気工事士の国家資格は、第一種電気工事士と第二種電気工事士の2種類があります。
両者の資格を取得する目的は、第一種電気工事士は高圧受電(600Vを超える)、第二種電気工事士は低圧受電(600V以下)する電気設備の工事に従事する為です。
どちらの資格も受験制限がないのでどなたでも受験することができますが、試験の難易度が低く電気工事の登竜門の資格である第二種電気工事士試験の受験から始めることをおすすめします。
このページの目次
電気工事士の国家資格の種類
日本には、パソコン関係の資格、車を整備する資格、建物を設計する資格、税金を計算する資格、学校の先生の資格、人を弁護する資格などいろいろな国家資格がありますよね。
では、電気工事士の資格は何かというと、電気の工事に関係した国家資格のことで、一般財団法人電気技術者試験センターが試験を実施して試験に合格すると、都道府県知事から電気工事士の免状が交付され受け取ることができます。
電気工事士の国家資格は、第一種電気工事士と第二種電気工事士の2種類に分かれており、次のようにそれぞれの資格で行ってもよいとされる工事内容が異なってきますので、実際に電気工事を行う際は気をつけてください。
- 第一種電気工事士の方が行える工事内容
- 第一種電気工事士の試験に合格された方は、自家用電気工作物で最大電力500キロワット未満の需要設備(工場、ビル等の電気設備)の工事と一般用電気工作物の工事に従事することができます。
- 第二種電気工事士の方が行える工事内容
- 第二種電気工事士の試験に合格された方は、一般用電気工作物(工場、ビル、住宅、小規模な店舗等の電気設備)の工事に従事することができます。
自家用電気工作物とは、一般用電気工作物以外の高圧受電(600Vを超える電圧で受電)する電気工作物のことです。一般用電気工作物とは、低圧受電(600V以下で受電)する電気設備のことです。
電気工事士の国家資格の受験資格
国家資格の受験資格とは、試験を受験する時に設けてある受験制限のことです。
国家資格には受験資格が設けてあるものと受験資格が設けていないものの2種類あることをご存じでしょうか。
受験資格が設けてあるものは、大卒以上の方、何年以上の実務経験を有した方というように厳しい制限がついています。受験資格はそれぞれの試験によって異なるので各自で確認してください。
では、電気工事士の資格の受験資格はどうかというと、電気工事士の国家資格は第一種電気工事士と第二種電気工事士の2種類に分類されていますが、どちらの資格でも受験資格はありませんので、どなたでも受験料を支払って受験の手続きを済ませれば受験することが可能です。電気工事士試験の受験の申請先は、一般財団法人電気技術者試験センターで受け付けています。
- 第一種電気工事士試験の受験資格
- 受験資格はないのでどなたでも受験することができます。
- 第二種電気工事士試験の受験資格
- 受験資格はないのでどなたでも受験することができます。
なお、第一種電気工事士は受験資格はないので試験の申込をすれば誰でも受験することができますが、試験に合格しても免状の交付には3年以上又は5年以上の電気工事の実務経験が必要になるので注意してください。
電気工事士の国家資格の試験の種類
電気工事士の国家資格は、第一種電気工事士と第二種電気工事士の2種類に分類されていますが、どちらの資格でも筆記試験と技能試験の2種類があります。
- 第一種電気工事士試験の種類
- 筆記試験と技能試験の2種類があります。
- 第二種電気工事士試験の種類
- 筆記試験と技能試験の2種類があります。
筆記試験と技能試験の受験の流れは、どちらの試験でも筆記試験を受験して合格した後に技能試験を受験します。
そして、技能試験に合格した方は各都道府県知事に申請すると免状が交付されます。
第一種電気工事士は、3年以上又は5年以上の電気工事の実務経験が必要なので、各人の経験年数によってはすぐに交付されません。
なお、次のように、筆記試験はある条件を満たしていれば免除してもらえます。
- 第一種電気工事士の筆記試験の免除条件
- 前年の筆記試験に合格した方、電気主任技術者の免状を持っている方。
- 第二種電気工事士の筆記試験の免除条件
- 前回の筆記試験に合格した方、電気主任技術者の免状を持っている方、高校や大学などで電気工事士法で定める課程を修了して卒業した方。
※筆記試験が免除される方は技能試験のみを受験すればいいので、免除制度を活用しましょう。
電気工事士の国家資格の難易度
今まで実施されてきた第一種電気工事士と第二種電気工事士の国家試験の合格率をまとめると以下の通りになります。
- 第一種電気工事士試験の合格率
- 毎年多少は異なりますが筆記試験と技能試験の両方合格できる割合は約40%です。
- 第二種電気工事士試験の合格率
- 毎年多少は異なりますが筆記試験と技能試験の両方合格できる割合は約70%です。
電気工事士の試験の難易度は、合格率のみを見れば第二種電気工事士よりも第一種電気工事士の方が合格できる割合が少ないので難しいのは確かです。
しかし、どちらの試験でも、第二種電気主任技術者や第一級陸上無線技術士のように大学の工学部で勉強するような難しい公式を使った電気理論が出題されるわけではないので、市販されているテキストと問題集をしっかり読んで試験対策を行えば、文系・理系問わずどなたでも合格することは可能です。
基本的には、電気工事士の資格は取得しやすい第二種電気工事士の試験から受験していくのが普通です。第二種電気工事士の試験ならば、筆記試験の勉強期間で約1カ月間、技能試験の勉強時間で約2カ月間の合計3カ月間しっかり勉強すれば合格することはできます。
第一種電気工事士の資格は高圧受電設備に関した資格なので、電気工事の会社へ就職して必要にせまられたら受験するものだと私は思います。
※第一種電気工事士の資格は電気工事の仕事をしても必要にならないことの方が多いです。