2.電気工事士法(目的、義務、作業、工事)
電気工事士法は電気の作業の義務に関する法律のことです。
電気工事士の資格には、第一種電気工事士と第二種電気工事士があり、第二種電気工事士は工事できる範囲に指定があります。
電気工事士法の勉強で重要なことは、電気工事士でできる工事と電気工事士でなくてもできる工事について理解することです。
電気工事士の工事内容は試験に出題される確率はとても高いのでしっかり覚えてください。
このページの目次
電気工事士法と電気工事の作業範囲の基礎知識
電気工事士法とは、電気工事の作業をする者の資格と義務を定めて、電気工事をしたことによる欠陥によって災害が起こらないようにする法律です。
電気工事士の国家資格には、第一種電気工事士と第二種電気工事士の2種類の資格があり、それぞれの資格で次の表の様に作業範囲は異なります。
資格の名称 | 一般用電気工作物 | 自家用電気工作物(500kW未満) |
---|---|---|
第一種電気工事士 | 工事できる | 工事できる |
第二種電気工事士 | 工事できる | 工事できない |
このように、第二種電気工事士の資格では工事できない箇所がでてきます。下記に詳しく説明しますので理解してください。
第一種電気工事士
低圧の一般用電気工作物、高圧の自家用電気工作物(500kW未満)の電気工事が行えます。
※簡易電気工事(自家用電気工作物であるが、電線路除く600V以下の電気工事)であれば認定電気工事従事者の資格を取得していれば電気工事は行えます。
ここで注意が必要ですが、第一種電気工事士であっても行えない工事があります。特殊電気工事(自家用電気工作物に含まれるネオン設備・非常用予備発電設備の電気工事)に関しては、特種電気工事資格者の資格を取得している者でなければ工事は行えませんので、第一種電気工事士の資格を取得していても工事はできません。
第二種電気工事士
低圧の一般用電気工作物の電気工事が行えます。
ですので、600V以下で受電する一般用電気工作物の電気設備の電気工事をするには第一種か第二種電気工事士の資格が必要です。
そして、500kW未満の自家用電気工作物の電気工事は第一種電気工事士の資格が必要です。
但し、電気工事士の補助作業を行う者は電気工事士の資格は必要ありません。
電気工事士でなければ工事できない作業内容
電気工事士でなければ工事できない作業については、電気工事士法施行規則の第2条に定められています。第二種電気工事士の筆記試験に出題されやすいので1度目を通しておいてください。
- 電線どうしを接続する作業
- がいしに電線を取り付ける作業
- 電線を直接造営材やその他の物件(がいしを除く)に取り付ける作業
- 電線管、線ぴ、ダクト類に電線を収める作業
- 配線器具を造営材その他の物件に固定し、それらに電線を接続する作業(露出型の点滅器・コンセントを取り換える作業は除く)
- 電線管を曲げたりネジ切りしたり加工し、電線管を電線管どうしやボックスに接続する作業
- ボックスを造営材に取り付ける作業
- 電線、電線管、線ぴ、ダクトを造営材に貫通する部分に防護装置を取り付ける作業
- 金属製の電線管、線ぴ、ダクトを建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張り、金属板張りの部分に取り付ける作業
- 配電盤を造営材に取り付ける作業
- 接地線を電気工作物に取り付け、接地線どうしや接地線と接地極とを接続し、接地極を地面に埋設する作業
- 電圧600Vを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業
電気工事士でなくても作業ができる軽微な工事
電気工事士でなくても作業ができる軽微な工事については、電気工事士法施行令の第1条に定められています。第二種電気工事士の筆記試験に出題されやすいので1度目を通しておいてください。
- 電圧600V以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器、ナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事
- 電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く)、又は電圧600以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル)をねじ止めする工事
- 電圧600V以下で使用する電力量計、電流制限器、ヒューズを取り付け取り外す工事
- 電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球などに使用する二次電圧が36V以下の小型変圧器の二次側の配線工事
- 電線を支持する柱、腕木などに類する工作物を設置し、又は変更する工事
- 地中電線用の暗渠又は管を設置し変更する工事
電気工事士法の練習問題を解いてみよう
次の電気工事士法に関する問題を解いて力をつけてください。
問題2、問題4のような、電気工事士に課せられている工事の関係を問う問題はよく出題されますので試験までに必ず解けれるようにしておいてください。
問題1(電気工事士法の目的の問題)
電気工事士法の目的は何か答えよ。
答え:
電気工事の作業に従事する者の資格および義務を定め、電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与すること
問題2(電気工事士に課せられた義務や制限の問題)
電気工事士に課せられた義務または制限に関する次の記述は正しいか答えよ。
- イ.電気設備基準に適合するように作業をしなければならない
- ロ.電気用品安全法に適合した電気用品を使用しなければならない
- ハ.電気工事の作業に従事する時は電気工事士免状を携帯しなければならない
- 二.都道府県知事から電気工事の業務に関して報告を求められた場合は報告しなければならない
考え方:覚えておくと役に立つことは、第一種電気工事士と第二種電気工事士の作業範囲の違いについてです。
第一種電気工事士は、500kW未満の自家用電気工作物(特殊電気工事は除く)と一般用電気工作物の電気工事ができます。
第二種電気工事士は、一般用電気工作物の電気工事ができます。
認定電気工事従事者と特種電気工事資格者の作業内容についても覚えておきましょう。
答え:
イ.正しい
ロ.正しい
ハ.正しい
二.正しい
問題3(電気工事士の免状の書き換えの問題)
電気工事士法に基づいて、電気工事士が免状の書き換えの申請をしなければならない事項はどれか答えよ。
- イ.勤務先が変わった場合
- ロ.氏名が変わった場合
- ハ.住所が変わった場合
- 二.主任電気工事士になった場合
考え方:免状の記載事項の変更をしないといけない時は氏名のみ書き換えます。
答え: ロ
問題4(電気工事士でなくてもできる作業の問題)
電気工事士の資格に合格していなくてもできる作業はどれか答えよ。
- イ.がいしに電線を取り付ける作業
- ロ.電線相互を接続する作業
- ハ.電線管に電線を収める作業
- 二.露出型コンセントを取りかえる作業
考え方:電気工事士でなくてもできる工事はいくらかあります。よくでてくるものを紹介します。
電圧600V以下で使用する接続器や開閉器に、コード、キャブタイヤケーブルを接続する工事。
電圧600V以下で使用する配線器具を除いた電気機器、蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル、ケーブルを含む)をねじ止めする工事。
電圧600V以下で使用する、電力量計、電流制限器、ヒューズを取り付け取り外しする工事。
電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球など、施設に使用する2次電圧が36V以下の小型変圧器の2次側の配線工事。
露出型点滅器、露出型コンセントを取り換える作業。
これらは、電気工事士でなくても工事や作業ができます。
なお、電気工事士の補助作業をする場合は電気工事士の資格はいりません。
答え: 二