6.一般配線の配線用図記号の基礎知識
電気工事を行う時は設計者が作成した電気図面に描かれている配線用図記号を見て行います。
一般配線には、天井隠ぺい配線、床隠ぺい配線、露出配線など、いろいろな図記号がありますので、各図記号は何を表しているのか名称とその説明を理解してください。
一般配線の図記号は試験に出題される確率は高いのでしっかり覚えてください。
このページの目次
配線用電気図面で使う一般配線の図記号の名称と意味
電気工事はやみくもに行うのではなく、建築の図面に配置された電気設備の図記号に従って工事を行います。
電力会社から送られてくる電気を建物の中に引くには、図面に書かれている受電点を経由させてから屋内に電線を配線していきます。
屋内に張り巡らされる電線はどこを通して配線(天井、床下、露出など)しなければいけないのかも図面に書かれていて、また、電線の種類・太さ・本数、電線を収める電線管の種類・太さなども適切に設計されて図面に書きこまれています。
したがって、電気工事を正しく行うには、図面に書きこまれた一般配線の図記号の名称と意味を理解する必要があります。
ここでは、第二種電気工事士の筆記試験や技能試験によく出題される、一般配線の配線用図記号の名称とその説明について簡単にまとめました。
一般配線のすべての図記号は試験でよく目にしますので、どの図記号が何を表しているのかしっかり覚えてください。
図記号 | 名称・説明 |
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天井隠ぺい配線 | |
説明:天井隠ぺい配線は実線で表され、天井裏に電線・ケーブルを配線するときに使う図記号です。(室内から配線は見えません。) | |
床隠ぺい配線 | |
説明:床隠ぺい配線は大きい破線で表され、床下に電線・ケーブルを配線するときに使う図記号です。(室内から配線は見えません。) | |
露出配線 | |
説明:露出配線は小さい破線で表され、天井や壁面に電線・ケーブルを配線するときに使う図記号です。(室内から配線は見えます。) | |
地中埋設配線 | |
説明:地中埋設配線は一点鎖線で表され、大地の中に電線・ケーブルを配線するときに使う図記号です。(地面の上から配線は見えません。) | |
床面露出配線 | |
説明:床面露出配線は二点鎖線で表され、床の上面に電線・ケーブルを配線するときに使う図記号です。(室内から配線は見えます。) | |
天井隠ぺい配線(VVFケーブル) | |
説明:VVFケーブルを天井隠ぺい配線します。VVFがケーブルの種類、1.6が電線の線心(心線ともいう)の太さ、3Cが線心数(心線数ともいう)を表します。 ケーブルの種類:VVF 線心の太さ:1.6mm 線心数:3本 (線心とはケーブルの中心にある導線のことです。) | |
天井隠ぺい配線(IV線) | |
説明:IV線を天井隠ぺい配線します。IVが電線の種類、1.6が電線の線心(心線ともいう)の太さ、斜めの線が電線の本数を表します。 電線の種類:IV 電線の太さ:1.6mm 電線数:2本 | |
天井隠ぺい配線(薄鋼製電線管) | |
説明:材質の表記がなければ薄鋼製電線管のことです。電線を薄鋼製電線管の中に収めて天井隠ぺい配線します。 管種類:太さ19mmの薄鋼製電線管 電線の太さ:1.6mm 電線数:2本 | |
天井隠ぺい配線(ねじなし鋼製電線管) | |
説明:Eとは、ねじなし鋼製電線管のことです。電線をねじなし鋼製電線管の中に収めて天井隠ぺい配線します。 管種類:太さ19mmのねじなし鋼製電線管 電線の太さ:1.6mm 電線数:2本 | |
天井隠ぺい配線(合成樹脂製可とう電線管) | |
説明:PFとは、合成樹脂製可とう電線管のことです。電線を合成樹脂製可とう電線管の中に収めて天井隠ぺい配線します。 管種類:太さ16mmの合成樹脂製可とう電線管 電線の太さ:1.6mm 電線数:2本 | |
天井隠ぺい配線(硬質塩化ビニル電線管) | |
説明:VEとは、硬質塩化ビニル電線管のことです。電線を硬質塩化ビニル電線管の中に収めて天井隠ぺい配線します。 管種類:太さ16mmの硬質塩化ビニル電線管 電線の太さ:1.6mm 電線数:2本 | |
ライティングダクト | |
説明:照明器具を天井や壁など好きな位置に配置して使うことができるダクトレールのことです。普通の住宅にはあまり使われませんが、お店ではよく見かけます。 | |
立上がり | |
説明:配線を立ち上げる意味で使います。(例えば、1階と2階の間を配線する時は、1階は立上がり、2階は引下げの図記号になります。) | |
引下げ | |
説明:配線を引き下げる意味で使います。(例えば、1階と2階の間を配線する時は、1階は立上がり、2階は引下げの図記号になります。) | |
受電点 | |
説明:電力会社から電気を利用する一般家庭や工場などの需要者と供給者(電力会社)との境界となる地点のことです。 |
一般配線の図記号の練習問題を解いてみよう
次の一般配線の図記号に関する問題を解いて力をつけてください。
問題1~3のような、一般配線の図記号・添え字を問う問題はよく出題されますので試験までに必ず解けれるようにしておいてください。
問題1
次の配線用図記号の名称は何か答えよ。
- イ.天井隠ぺい配線
- ロ.床隠ぺい配線
- ハ.露出配線
- 二.地中埋設配線
考え方:上の配線用図記号(一般配線)の表で名称を確認しましょう。直線は天井隠ぺい配線、床隠ぺい配線は大きい破線、露出配線は小さい破線、地中埋設配線は一点鎖線です。それぞれの図記号の形状の違いを覚えてください。
答え: イ
問題2
次の配線用図記号は天井隠ぺい配線ですが、添え字のVVF1.6-3Cは何を意味するのか答えよ。
- イ.太さ1.6mmで2芯のVVFケーブルを使う
- ロ.太さ1.6mmで3芯のVVFケーブルを使う
- ハ.太さ2.0mmで2芯のVVFケーブルを使う
- 二.太さ2.0mmで3芯のVVFケーブルを使う
考え方:添え字はVVFケーブルの太さと線心数を表しています。
答え: ロ
問題3
露出配線とはどのような配線方法のことか次の中から正しい答えを1つ選べ。
- イ.天井の中に配線する方法
- ロ.壁の中に配線する方法
- ハ.天井や壁面の外に配線する方法
- 二.床の下に配線する方法
考え方:露出配線とは、天井や壁面の外側に電線・ケーブルを配線する方法のことです。電線・ケーブルの配線方法は、露出配線の他にも、天井隠ぺい、床隠ぺいなどがありますので、上の配線用図記号(一般配線)の表で確認してください。
答え: ハ