1.電線・ケーブル・コードの種類
電気工事を行う時は、工事目的に合った電線・ケーブルを使って行います。
電気工事で使う電線やケーブルは、ビニル絶縁電線(IV)やビニル絶縁ビニルシースケーブル平型(VVF)が有名ですが、その他にも、HIV、EM-IE、DV、CVなどいろいろな電線やケーブルがあります。
電線・ケーブルの名称は配線図の問題に出題されるので、どのような場所に使うのか使用用途をしっかり覚えてください。
このページの目次
電線とケーブルの違い
建物の屋内に設置してある分電盤から電気をコンセントや照明器具に送るには、電線管に収めた電線やVVFなどのケーブルを造営材に固定して配線するのが普通ですが、電線とケーブルは何が違うのかわかりますか?
もし、違いがわからない方は、電線とケーブルの種類を覚える前に電線とケーブルの違いから勉強しましょう。
- 電線
- 電線には、絶縁電線と裸電線があります。
建物の屋内・屋外配線では、単線やより線の導体の周りを、塩化ビニル、耐熱性ポリエチレンで覆って絶縁した絶縁電線を使います。送電線(電柱ではなく鉄塔の電線)では導体の周りを絶縁していない裸電線(銅心のアルミより線)を使います。 - ケーブル
- 絶縁電線の外装を、塩化ビニル、耐熱性ポリエチレン、天然ゴムなどでさらに保護して、導体と導体の周りを覆う絶縁体に外部から傷が付かないように加工してあるものです。1重ではなく2重に保護してあるのもです。
※絶縁体とは、電気を通しにくい物質のことです。
このように、電線とケーブルは電気を通す導体と電気を通さない絶縁体の2種類で作られており、ケーブルは導体の周りの絶縁体(被覆)をさらにシース(外側の被覆)で覆ってあります。
したがって、電線とケーブルの違いは、導体の周りの絶縁体(被覆)をシースで覆ってあるか覆っていないかの違いです。
電線とケーブルの名称・記号・使用用途
電線やケーブルは、導体の材質(軟銅線、硬銅線)の違い、導体の芯線の構造(単線、より線)の違いがあるので種類がいろいろあり、使用場所や使用目的によって使用する電線・ケーブルが異なります。
屋外には屋外用の電線・ケーブルを使い、屋内には屋内用の電線・ケーブルを使うようにしてください。
※電線をそれぞれの使用目的以外の場所に使うと、耐久性などの問題で絶縁被覆が劣化する恐れがあります。
例えば、上の写真は制御用回路に使われる、CVV(制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル)です。CVは電力用ケーブルであるのに対して、CVVは制御用ケーブルです。同じような名前でも電線の種類によって使用場所が異なるので気をつけましょう。
下の表に電線とケーブルの種類をまとめました。使用用途に応じて適切な電線・ケーブルの名称と記号が頭に浮かぶようになるまで繰り返し覚えましょう。
電線・ケーブルの名称 | 記号 | 使用用途・説明 |
---|---|---|
600V ビニル絶縁電線 | IV | 屋内で使用 導体:軟銅線の単線 許容温度:60℃ |
600V 二種ビニル絶縁電線 | HIV | 屋内で使用 耐熱性あり 導体:軟銅線の単線 許容温度:75℃ |
600V ポリエチレン絶縁電線 | EM-IE | 屋内で使用するエコ電線 導体:軟銅線の単線 |
屋外用ビニル絶縁電線 | OW | 屋外で使用 導体:硬銅線のより線 |
引込用ビニル絶縁電線 | DV | 屋外の電柱からの引込用(がいし引き工事)で使用。 導体:硬銅線のより線 |
600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル | VVF、VVR | 屋内、屋外、地中で使用。一般的には屋内配線はVVFが使われます。(F:平形、R:丸形) 導体:軟銅線の単線 許容温度:60℃ |
600V 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル | CV | 屋内、屋外、地中で使う許容電流が大きく耐熱性に優れたケーブル。 導体:軟銅線のより線 許容温度:90℃ |
キャブタイヤケーブル | CT、VCT | 移動機器用、制御回路用として使用。(CT:ゴム、VCT:ビニル) 導体:軟銅線のより線 |
600V ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル | EM-EEF | 屋内、屋外、地中で使う耐燃性がある平形のエコケーブル。 導体:軟銅線の単線 許容温度:75℃ |
※記号のEM(エコマテリアル)とは、耐燃性を有しており燃やしても有毒ガスを発生させない意味のことです。
コードの種類と使用用途
電気を送る線には、電線・ケーブルの他にコードというものもあります。
コードの種類には、ビニルコード、袋打コード、丸打コードがあり、コードは原則的に固定せずに電源供給用の電線として使用されます。
- ビニルコード:扇風機などの一般的な電化製品に使われます。
- 袋打コード:コタツやアイロンに使われます。
- 丸打コード:吊り下げ式の照明器具に使われます。
コードは、第二種電気工事士の試験にはたまにしか出題されませんが、これから電気工事を行う作業員として働く方は、電線・ケーブルの他にコードという種類もあることを覚えておいてください。
電線の公称断面積の公式
電線の公称断面積を求めるには、次の公式を使います。
筆記試験には、この式を変形して、素線径を求める問題が出題されることがありますので覚えましょう。
電線・ケーブルの練習問題を解いてみよう
次の分岐回路に関する問題を解いて力をつけてください。
問題1のような電線の素線径を求める問題は一般問題としてたまに出題されますので計算方法を覚えておきましょう。
また、電線やケーブルの名称・記号は配線図の問題に出題されますので、使用用途を覚えて目的に合ったものを選定できるようにしておいてください。
問題1
公称断面積22mm2の600Vビニル絶縁電線の構成(素線数が7[本]の時の素線径[mm])はいくらになるか求めよ。
考え方:上の公称断面積を求める公式を、素線断面積を求める式になるように変形してみましょう。
まずは、素線断面積を求めます。
次に、先ほど求めた素線断面積を使って素線径を求めます。
答え 2[mm]
問題2
次の各電線の記号を答えよ。
- イ.600Vビニル絶縁電線
- ロ.屋外用ビニル絶縁電線
- ハ.引込用ビニル絶縁電線
- 二.600V二種ビニル絶縁電線
考え方:上の電線・ケーブルの種類の表から読み取りましょう。
答え
イ.IV
ロ.OW
ハ.DV
二.HIV
問題3
次の各ケーブルの記号を答えよ。
- イ.架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル
- ロ.キャブタイヤケーブル(ビニル)
- ハ.ビニル絶縁ビニルシースケーブル(平形)
- 二.ビニル絶縁ビニルシースケーブル(丸形)
考え方:上の電線・ケーブルの種類の表から読み取りましょう。
答え
イ.CV
ロ.VCT
ハ.VVF
二.VVR