受動素子と能動素子を覚えて電気回路と電子回路の違いを理解する

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3.電気回路と電子回路は何が違うの?

電気・電子回路に使われている素子は受動素子と能動素子に分けられます。

受動素子とは、抵抗(R)、コイル(L)、コンデンサ(C)のことで、能動素子とは、トランジスタ(Tr、FET)、集積回路(IC)、ダイオード(D)などのことです。

一般的に、電気回路は受動素子(R、L、C)のみで構成されている回路のこと、電子回路は受動素子の他に能動素子(Tr、FET、IC、D)が使われて構成されている回路のことを指し示しています。

このページの目次

受動素子と能動素子って何ですか?

受動素子と能動素子の説明

電気回路や電子回路について書かれている専門書を読んでいると、聞き慣れない言葉や言い回しが難しい口調で書かれているので理解するまでに時間がかかりますよね。

また、電気についての本を読んでいると電気回路はどうのこうのと書いてあり、電子についての本を読んでいると電子回路という言葉が書いてあります。

そもそも、電気回路と電子回路はいったい何が違うのだろうという疑問を持ったことはありませんか?

電気回路と電子回路はある素子が使われているかいないかで区別されていますので、まずは、受動素子(じゅどうそし)と能動素子(のうどうそし)について覚えましょう。

受動素子とは電力を消費したり、電流や電圧を蓄積・放出したりする素子のことで、能動素子とは電気信号を増幅したり発信したりする半導体素子のことをを表しています。

では、電気回路と電子回路は何が違うのかというと、

電気回路
受動素子(抵抗、コイル、コンデンサ)を使って構成された回路のこと。
電子回路
受動素子(抵抗、コイル、コンデンサ)と能動素子(トランジスタ、IC、ダイオードなど)を使って構成された回路のこと。

という違いがあります。

このように能動素子が使われなくて回路が構成されていれば電気回路、能動素子が使われて回路が構成されていれば電子回路となります。

受動素子の働きと役割

RLC直列回路

電気回路と電子回路で使われる受動素子(抵抗、コイル、コンデンサ)のそれぞれの素子の働きと役割は次の通りです。

抵抗

抵抗は直流回路でも交流回路でも電流の流れを妨げようとする性質があるので、負荷に流れる電流や負荷に加わる電圧を最適となるように調整する時に使います。
※交流で使っても電流と電圧の位相はずれません。

しかしながら、直流でも交流でも抵抗は電力を消費する性質があるので、むやみやたらに使いまくると消費電力が大きくなります。
※電熱器の電熱線(抵抗)は電気を熱エネルギーとして取り出す為に使っています。

  • 記号:R
  • 単位:Ω(オーム)

コイル

コイルは、モーターや通信機器の受信部などに使われています。

コイルに直流を流すと電磁石になり電流はよく流れますが、交流を流すと誘導起電力の作用によって周波数が高くなるほど誘導リアクタンスが増えて電流が流れにくくなる特性があります。

また、交流を流すと電流は電圧よりも位相が90°遅れる(遅れ位相)ようになります。

  • 記号:L
  • 単位:H(ヘンリー)
  • 誘導リアクタンス:XL=ωL=2πfL

※ω(オメガ)は、角速度(角周波数)のことです。

コンデンサ

コンデンサに直流を流すと電気を蓄えたり(充電)、蓄えた電気を放出(放電)させたりできるので、この充放電の性質を工夫して利用します。また、ノイズを除去する時に使われます。
※コンデンサに蓄えられた電気量(電荷)は、q=CV[C]で表されます。C=静電容量、V=電圧。

交流を流した場合は、何もしなくても充電と放電を繰り返すようになるので普通に電流は流れますが、電流は電圧よりも位相が90°進む(進み位相)ようになります。この性質を利用して、コイル成分により位相がずれた時に生じた力率の悪化を改善する目的で使われます。

なお、交流を流すと容量リアクタンスが発生します。

  • 記号:C
  • 単位:F(ファラド)
  • 容量リアクタンス:XC=1/(ωC)=1/(2πfC)

※ω(オメガ)は、角速度(角周波数)のことです。

能動素子の働きと役割

トランジスタ、IC、ダイオードの図記号

電子回路で使われる能動素子(トランジスタ、IC、ダイオード)のそれぞれの素子の働きと役割は次の通りです。

トランジスタ

トランジスタの種類には、電流で電流の流れを制御するバイポーラトランジスタと電圧で電流の流れを制御する電界効果トランジスタ(FET)があります。

バイポーラトランジスタは、p型半導体とn型半導体をnpn型又はpnp型となるように接合して、エミッタ、コレクタ、ベースという3つの電極を持たせた半導体素子のことです。

電界効果トランジスタは、接合型(nチャネル接合型、pチャネル接合型)とMOS型(nチャネルMOS型、pチャネルMOS型)に分かれ、ソース、ドレイン、ゲートの3つの電極を持たせた半導体素子のことです。

どちらのトランジスタでも主に小さい電気信号を増幅させて大きな電気信号に変換する時に使いますが、スイッチとしての機能を持たせることもできます。

IC

IC(集積回路)は、とても小さな基盤に、トランジスタ、ダイオード、抵抗、コンデンサなどの電子回路を配置したもので、電気を使って動いている電化製品を小型・高性能化することに貢献しています。

昔は素子数に応じて、SSI、MSI、LSI、VLSI、ULSIと分別されていましたが最近ではあまり言われなくなりました。

ダイオード

ダイオードは、p型半導体とn型半導体を接合して作られ、p型半導体側にアノード、n型半導体側にカソードという2つの電極を持たせた半導体素子です。

ダイオードは、アノードからカソードの方向へしか電流は流れない性質(整流作用)があるので、電流を一方通行で流す目的で使います。交流の電気をダイオードを通過させるとマイナスの電気を取り除き直流の電気に変換できるので、身近なものではスマホのACアダプタなどに利用されています。

その他では、電気エネルギーを光エネルギーに変換する発光ダイオード(LED)、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池もダイオードです。

電気回路と電子回路のまとめ

電気回路とは、受動素子(抵抗、コイル、コンデンサ)で構成された回路のことで、電子回路とは、受動素子(抵抗、コイル、コンデンサ)と能動素子(トランジスタ、IC、ダイオードなど)で構成された回路のことをいいます。

両者の回路構成の違いがわかれば、回路に電気又は電子という言葉が使われている意味が納得できますよね。

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